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ニュースリリース

共同研究|光合成微生物シアノバクテリアにおける広宿主ベクターの開発とその利用

2023年3月29日

教育・学術

 東京農業大学大学院バイオサイエンス専攻、坂巻裕 博士課程学生(日本学術振興会特別研究員DC2)、小野美月 修士課程学生、生命科学部バイオサイエンス学科、重成希 学部学生(研究当時)、荷村(松根)かおり 博士研究員、千葉櫻拓 教授、渡辺智 准教授、同分子生命化学科、下村健司 准教授、および東京工業大学 科学技術創成研究院 化学生命科学研究所の前田海成 助教らの研究グループは、光合成微生物であるシアノバクテリアのプラスミド複製に関わるタンパク質CyRepA2を同定し、CyRepA2を用いたベクターが幅広いシアノバクテリア種で利用できることを発見しました。さらにこのベクターを用いてシアノバクテリアによる揮発性テルペノイドの生産系を構築しました。

ポイント

  • 光合成微生物であるシアノバクテリア(*1)が持つプラスミド(*2)の複製に関わるタンパク質CyRepA2 (Cyanobacterial Rep A2)を同定しました。
  • CyRepA2が幅広いシアノバクテリア種に保存されていることを明らかにしました。
  • CyRepA2を導入した発現ベクター(*3)を開発し、複数種のシアノバクテリアがCyRepA2の複製システムを使用してプラスミドを複製できることを示しました。
  • 当該ベクターを用いてシアノバクテリア細胞内で放線菌の代謝酵素を過剰発現させ、揮発性テルペノイド(*4)であり香料として有用な1,8-シネオールの生産に成功しました。
  • シアノバクテリアはカーボンニュートラルな有用物質生産ホストとして期待されており、本研究で開発された広宿主域ベクターはシアノバクテリアの産業利用を加速させる新たな遺伝子工学ツールとして期待できます。

発表論文

本研究成果は国際学術誌「Frontiers in Microbiology」および「Bioscience, Biotechnology and Biochemistry」のオンライン版に掲載されました。

  1. 著者: Yutaka Sakamaki, Kaisei Maeda, Kaori Nimura-Matsune, Taku Chibazakura, Satoru Watanabe
    タイトル:Characterization of a cyanobacterial Rep protein with broad-host range and its utilization for expression vectors,
    掲載誌名:Frontiers in Microbiology (2023)
    掲載日:令和5年3月23日
  2. 著者:Yutaka Sakamaki, Mizuki Ono, Nozomi Shigenari, Taku Chibazakura, Kenji Shimomura Satoru Watanabe
    タイトル:Photosynthetic 1,8-cineole production using cyanobacteria
    掲載誌名:Bioscience, Biotechnology and Biochemistry (2023)
    掲載日:令和5年2月22日

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