東京農業大学

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教員コラム

設立4年目、安定経営を目指す

2011年7月15日

国際食料情報学部国際バイオビジネス学科 教授 藤本 彰三

株式会社じょうえつ東京農大

平成20年4月1日に設立された株式会社じょうえつ東京農大は、有機農業の確立と中山間地の担い手モデルを目標に掲げて、上越市谷浜桑取地区で有機農場を経営している。耕作放棄地を再開発した10ヘクタールの全圃場で有機JAS認証を取得済みである。教育研究と連携しながら、一日の早い経営の確立を目指している。

 

5つの基幹作物を策定

設立3期目の平成22年度には、これまでの栽培実績を踏まえ、基幹作物5つを策定して生産活動を行った。作付面積と生産量は、コメ(コシヒカリ)451アール(7,820キロ)、ソバ276アール(1,654キロ)、カボチャ180アール(3,909玉)、ズッキーニ31アール(9,486本)、およびダイコン51アール(4万本)であった。

しかし、耕作放棄地を再開発してから歳月が浅く地力回復が不十分であること、有機栽培技術が未熟であることなどに起因して、残念ながら生産量は計画を下回った。とくにコシヒカリに関しては、猛暑と根腐れ病の影響で総生産量が前年比4割以上の減産となった。ダイコンについては、9月中旬までの極度の乾燥のため再播種が必要になり生育期間が短縮され、全体として生育不良、そして想定以上の大雪で1ヶ月以上の収穫不能期間が続いた。いわば猛暑と大雪のダブルパンチに見舞われた。

着実に売上高を伸ばしたものの、低生産量による原価かぶりに加えて、製品棚卸資産について評価損を計上したため、当初計画以上の損失額となった。しかし、今後の上方展開の基礎造りとして新たな商品開発ができた。すなわち、切干ダイコン、乾燥カボチャに加えて、有機栽培ダイコンのおろしを入れたポン酢とそれをさらに加工した梅風味やしそ風味ドレッシングの商品化に成功した。これは当社ホームページ上(http://www.jnodai.co.jp)でも販売している。

 

全国農業会議所会長賞を受賞

当社は(1)学術研究の深化、(2)実践的教育の実施、(3)東京農大ブランドの確立と普及、および(4)耕作放棄地の再開発による中山間地振興、を設立理念としている。このうち、耕作放棄地の再開発については、今日までの実績に対して第3回(平成22年度)耕作放棄地発生防止・解消活動表彰事業「全国農業会議所会長賞」を受賞した。会社の設立理念と活動が全国レベルで評価されたものである。

次いで、平成22年度中の実践的教育の実施について述べよう。上越の有機農場では多種多様な実習生を受け入れた。まず、国際バイオビジネス学科2年生の必修科目「バイオビジネス実習」で夏季13名、冬季11名を受け入れたほか、3〜4年生のバイオビジネス実習(2)およびインターンシップの6名に実習機会を提供した。夏季実習には姉妹校ミシガン州立大学からも学生2名が来日し、当学科の学生と一緒に合宿実習を行った。ミシガンからの参加は3回目であった。また、中国農業大学の短期留学生15名が3日間に渡って上越研修を行い、猛暑のなか水田のヒエ抜き作業に従事した。

本学が3年前から実施している新国際教育プログラム(CIEP)は、世界学生サミットと重ねて実施している新たなフィールド教育の試みであるが、上越がその主要舞台になっている。昨年10月には学生21名と姉妹校教員8名が参加し、日本の中山間地農村に身を置いて、その魅力、問題、可能性について学習し、当社農場で有機農業体験を行った。これは今年も実施する予定である。さらに、寒さ厳しい12月には、アジア経済研究所開発スクールの研修生14カ国29名、および農水省の南米日系人研修プログラムで3カ国6名の研修生を受け入れた。初めての雪に興奮しながら、市内の農業施設の視察や乾燥野菜の袋詰め作業で有意義な日々を過ごした。

 

 

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