東京農業大学

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教員コラム

北のペットスナック

2013年8月22日

生物産業学部食品香粧学科 教授 永島 俊夫

オホーツク新食品誕生記(17)

高品質な地域資源の活用(9) 安全安心な食材をペットにも!

「食は安全安心でなければならない時代であり、これは人間だけに限らずペットの食事も同じ。飼い主はそのようなものを求めているはずだ」。北見市留辺蘂にあるパン屋さんを経営するペット好きなご主人から、ペット向けのお菓子の開発について協力してもらいたいという話がありました。

私は「ペットのことまでわからないし、そのようなことなら獣医さんに相談してみたら」と言いましたが、なかなかそのような対応をしてくれるところもないらしく、私も犬を飼っていることもあって協力することにしました。

できるだけ北海道産の良質で、ペット(犬)の健康にもよさそうな原料を用いて試作することになりました。パン屋さんの技術を生かし、基本的には乾パンのようなものを考え配合を検討した結果、健康によさそうなヤーコン、おから、鮭中骨、豆乳、フスマ、オリゴ糖などを配合して試作を繰り返しました。試作するたびに私の研究室で一緒に食べて、硬さや味などについて考え、残りは持ち帰り私の家の犬にも食べさせて反応を見ながら配合を決めました。

完成した製品は犬の大きさに合わせ、L、M、S、SSの4種類としました。成分分析を行い、その成分表とともに次のような私のコメントなども表記して販売されました。『この製品は本当に犬好きな人たちが犬と一緒になって開発されたもので、品質のよい原材料を用い、栄養のバランスにも考慮しています。また、表面の硬さと中のサクサクとした特有の食感は犬が好むというだけでなく、歯の健康のためにもよいことが考えられます。成分からもわかるようにカロリーも低いため、そのままおやつとして与えたり、主食に混ぜたりすることもでき、いつでも安心して与えられる製品です。』

この「北のペットスナック」は発売後、日通商事(株)が大変興味を示してくれて、通販をはじめとして宅配便を届ける際にチラシを一緒に配布したり、女満別空港の同社が経営する売店でも販売してくれることになりました。ペットを家に残して旅行に出た場合、いつもどうしているかと気になるものです。そのようなとき、帰りの空港で北海道産原料を使ったこのような土産物があれば、「ペットにも買っていってあげよう」という気持ちになると思います。当時、日本の空港で動物のための土産品を売っているところはなかったと思います。私は大変うれしく、日本航空の機内誌"SKYWARD"にも紹介するなどして応援していましたが、ペット向けの製品は一般の土産物と一緒に並べることはできず、書籍のコーナーで販売していました。あまり目につかない場所でもあったので販売数は伸びず、大変残念なことに1年ほどで撤退してしまいました。今は北見市内の動物病院やペットショップで販売しています。数はそれほど多く出ませんが、この製品のファンが定着してきています。この「北のペットスナック」は世田谷キャンパスの農大生協にも置いていますので、愛犬家の皆さん、ぜひ一度お試しください。

 

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