東京農業大学

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教員コラム

小麦を使った「白ビール」

2011年12月14日

生物産業学部食品香粧学科 教授 永島 俊夫

オホーツク新食品誕生記(3)

ビール・発泡酒の開発(2) 北海道の地域資源を活用

オホーツクキャンパス周辺は大規模農法による畑作地帯で、小麦、大麦、テンサイ、馬鈴薯などの輪作が行われています。本来ビールは大麦(ビール麦)を主原料として醸造しますが、この地域の原料を活用することを目的として、100リットル規模のビール試験醸造装置を用い、小麦を原料としたビールの醸造研究を行いました。

通常ビールは大麦を主原料として用いますが、小麦を使ったビールは「白ビール」に分類され、南ドイツ地方を中心に「ヴァイスビア(ヴァイツェン)」と呼ばれるビールが造られています。基本的にろ過はせず、白く濁った状態の製品で、これを「ヘーフェヴァイツェン」、ろ過したものを「クリスタルヴァイツエン」または「クリスタルヴァイスビア」などといいます。ドイツではよく飲まれているビールで、小麦特有の風味があり、淡色でクリーミーな泡が特徴です。

ヴァイツェンビールの製法として、原料は大麦麦芽と小麦麦芽を配合しますが、小麦は大麦のように殻がないため、麦汁をろ過する工程で目詰まりを起こしてしまいます。そこで、殻のある大麦と混ぜて使うことにより、大麦の殻がろ過材となるためその欠点を補うことができます。通常のヴァイツェンの小麦麦芽は大麦麦芽の4割から5割ほどが使われますが、本試験においても作業性と製品の品質との関係を考慮すると、大麦麦芽と小麦麦芽は50%ずつ使用した場合、最も良好な結果が得られました。

その他の地域原料を用いた醸造試験として、トウモロコシやカボチャ、ジャガイモなど、地域の農産物を利用した発泡酒の醸造研究も行いました。これはこのような生産地であるため、規格外品なども多く、それらを有効利用できることも大きな理由です。ビールや発泡酒の副原料としては、デンプン質などの糖質があれば発酵するため、いろいろな製品開発が可能です。それぞれの配合割合の検討、発酵具合の確認などを行い、地域の原料を用いた種々の発泡酒醸造条件の技術を蓄積していきました。

 

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