東京農業大学

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「生きる」を支える研究者たち vol.4

植物の生き様はわからないことだらけ。遺伝マーカーでその謎を解く。

教授 亀山 慶晃

地域環境科学部 地域創成科学科

クスノキは日本を代表する照葉樹。巨樹巨木になるその樹形は日本の里山の象徴でもある。

そんなクスノキだが、実は日本の在来種なのか、外来種なのかすらよくわかっていない。こうした謎が植物の世界にはとても多い。そもそも植物は繁殖の仕方が複雑で、しかも世代交代にかかる時間が長いために、研究が難しかったというのが謎が残されている理由だ。例えば一カ所に群生している樹木でも、その中心部付近の個体と周辺部にある個体とでは繁殖様式が異なることがあるが、これもそんな謎のひとつだ。

このようにこれまで研究が困難だった植物の繁殖や個体群の維持の仕組みを、遺伝マーカーと呼ぶ特定のDNA配列に着目し研究しているのが東京農業大学の亀山慶晃教授。遺伝子を使った「分子生態学」を推進してきた草分けの一人である。亀山教授はクスノキの遺伝マーカーを使って、かつて樟脳やセルロイドの原料として人間が深く関わってきた世代の個体と、まったく関わっていない樹齢数千年の個体を比較することで、人間が植物にどんな影響を与えてきたかを明らかにしつつある。

「遺伝マーカーを解析することで世代を遡り、どのような繁殖を行ってきたかを追求できます。例えば外来種による遺伝子汚染が何を引き起こすのか? そんな植物の生き様の謎に迫ることができるのが、この研究の面白さです」。

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