東京農業大学

メニュー

ニュースリリース

分子生命化学専攻の松本 優月さん、上原 佳夏さんによる研究成果がアメリカ化学会(ACS)の発行する専門誌に掲載

2024年10月7日

教育・学術

ケミカルバイオロジー研究室所属の分子生命化学専攻 松本 優月さんと上原 佳夏さん(ともに博士前期課程 1年)らの研究成果がアメリカ化学会の発行するJournal of Agricultural and Food Chemistry誌(IF=5.7)に掲載されました。

概要

即動的な興奮性神経伝達に重要な役割を担うニコチン性アセチルコリン受容体は、害虫においては殺虫剤のターゲットになります。その場合、動物にも存在する本受容体への殺虫剤の作用が弱いことが必要です。このような害虫と哺乳類間での殺虫剤の選択的作用が安全性を担保するひとつの要因になります。害虫と哺乳類の双方において、内因性神経伝達物質であるアセチルコリンが本受容体に同様の強さで作用します。従って、本受容体のアセチルコリン結合ポケット内でアセチルコリンと相互作用するためのキーとなるアミノ酸群は、害虫と哺乳動物間ではまったく同じです。しかしながら、殺虫剤は害虫の受容体に強く作用し、哺乳類の受容体には作用し難く、またある種の化合物はその逆の作用パターンを示すものがあります。これらの選択的作用の違いは、それぞれの化合物が持つ薬理活性構造部分(ファルマコフォア)の違いだけでなく、それを認識する受容体側の違いにも起因します。

本研究において、アセチルコリンの相互作用に直接関与するアミノ酸群の近傍に存在するアミノ酸群が害虫と哺乳類の受容体とでは異なることから、それらのアミノ酸の違いが害虫と哺乳類動物間での薬物作用ポケットのカタチ(三次元構造)の違いをつくり、それにより薬物の選択的相互作用を説明できること(薬物がどちらの受容体にフィットし易いか否か)がわかりました。この研究成果により、優れた害虫防除効果と最大限の安全性を併せ持つ殺虫剤のドラッグデザイン研究がさらに加速するものと期待されます。

論文タイトル:Molecular Recognition Properties of Nicotinic Ligands Determining Selectivity Between Insect and Mammalian Receptors
https://doi.org/10.1021/acs.jafc.4c07271

ページの先頭へ

受験生の方