研究成果(共同)「ナイジェリアの圃場で栽培したホワイトギニアヤムの根圏細菌叢の解析に成功」 | 国際農業開発学科、分子微生物学科、生物資源ゲノム解析センター
2024年6月19日
東京農業大学 (国際農業開発学科、分子微生物学科、生物資源ゲノム解析センター) と国際熱帯農業研究所 (International Institute of Tropical Agriculture, IITA, ナイジェリア) の共同研究チームは、IITAの圃場で栽培したホワイトギニアヤム (Dioscorea rotundata Poir.) の根圏細菌叢を世界で初めて解析しました。
ホワイトギニアヤムの近縁種であるダイジョ (Dioscorea alata L.) の根には、窒素固定細菌が共生しており、ダイジョへの窒素養分の供給に重要な役割を果たしていることが分かっています。
ホワイトギニアヤムは、西アフリカで最も栽培されているヤムイモであり、その収量の増加は、安定した食糧供給に加え、アフリカ経済にも影響します。ホワイトギニアヤムの生育に関与する根圏細菌叢は、現在まで解析されていなかったため、本研究では、窒素肥料に対して異なる反応を示すホワイトギニアヤムの6品種をナイジェリアにあるIITAの圃場で栽培し、根圏細菌叢を解析しました。
主な研究成果
- ホワイトギニアヤムの根圏細菌叢は、施肥と品種により異なる。
- 肥料を与えなくても生育が良い品種は、施肥により生育が改善する品種と異なり、ユニークな根圏細菌叢であった。
- 根圏には、窒素固定細菌が多く存在し、無施肥条件では、根の内部に棲息するが、施肥条件では、根の外側 (根圏土壌) に放出される。
今回の研究成果は、ホワイトギニアヤムの品種改良を目的とした育種プログラムに大きなインパクトを与えることが予想されます。
また今回の研究成果は、オンライン科学誌 Heliyon (Cell Press, Impact Factor =4.0) に掲載されました (2024年6月15日付)。
論文名:Changes in the rhizosphere and root-associated bacteria community of white Guinea yam (Dioscorea rotundata Poir.) impacted by genotype and nitrogen fertilization.
著者名:Ayodeji Peter Idowu, Kosuke Yamamoto, Takahiko Koizumi, Minenosuke Matsutani,Kanako Takada, Yuh Shiwa, Asrat Asfaw, Ryo Matsumoto, Michel Ouyabe, Babil Pachakkil, Hidehiko Kikuno, Hironobu Shiwachi
URL:https://doi.org/10.1016/j.heliyon.2024.e33169
本研究は、以下のプロジェクトの一環で行いました。
・大学戦略研究プロジェクト「植物生育促進・窒素固定細菌の作物生産への利用技術の開発」
・国際共同研究加速基金(海外連携研究)「アフリカ農業に向けた植物生育促進細菌の作物生産への利用技術の開発」課題番号22KK0085