生物産業学部が「オホーツク・フードマイスター検定」を開催 ~未利用規格外カジカを利活用した飯寿司 の商品化を決定~
2024年2月9日
教育・学術
生物産業学部は「オホーツク・フードマイスター検定」を開催し、未利用規格外カジカを利活用した飯寿司の商品化を決定しました。
農畜産物や水産物等の生物資源に恵まれた“食材の宝庫”、オホーツク地域。
北海道オホーツクキャンパスの生物産業学部では「食」に関する基礎的な知識、地域食材を活用した商品開発を実践的に学ぶプログラムとして「オホーツク・フードマイスター検定」(初級・中級・上級)を実施しています。
2023年12月16日(土)、「オホーツク・フードマイスター検定」上級コースを選択した8名4組の学生による地域食材を活用した試作品の試食会と発表会(プレゼンテーション)を実施し、「オホーツク・フードマイスター」プログラムの担当教員や原料提供者が審査を行いました。
尚、商品試作の実施にあたっては北海道産赤肉メロン搾汁残渣を浜理PFST株式会社・千歳工場から、網走産のカジカやサバ、サケ等は網走市の水産加工会社に原料提供のご協力をいただきました。
1月15日(月)には「オホーツク・フードマイスター検定」授与式と学部長賞表彰式を開催。授与式では初級12名、上級8名の合格者一人一人に合格証が手渡されました。
また、学部長賞は「未利用規格外カジカを利活用した飯寿司」の製造に取り組んだ長沼 優月さん(食香粧化学科 2年)、居馬 颯汰さん(自然資源経営学科 2年)が受賞。生物産業学部 学部長の西野 康人 教授から賞状が授与されました。
未利用規格外カジカを利活用した飯寿司
長沼さんと居馬さんは、網走市内の水産加工会社から原料提供の協力を得て、2023年9月末から網走市で漁獲されるカジカを使用した飯寿司の製造開発に取り組みました。
カジカは冬の海水温の低下とともに活性が低下し、身痩せします。春から夏のカジカは食味の低下により価値がつかず廃棄されている現状があり、食品としてほぼ利用されていません。そうした現状を踏まえて長沼さんと居馬さんは未利用資源としてのカジカを活用した商品提案ができないか検討を続けてきました。夏の観光客をターゲットに北海道の郷土料理として商品開発を企画し“飯寿司”を着想。網走市で正月に食べられることが多い“飯寿司”は、サケやホッケ、ニシンを活用する場合が多いが、カジカを使用した事例はこれまでなかったとされています。
製法の特徴は、①白身魚のカジカを昆布と一緒に漬けて旨味を引き出している点、②更に通常の飯寿司は砂糖を添加し30~50日の発酵熟成による漬け込みが一般的なところを、砂糖を使用せず3~4日の短期発酵熟成で最良の食味バランスに調整した点。
試食を行ったところ「魚特有の臭みがなくておいしい」、「居酒屋メニューに合うのではないか」といった意見がよせられた。原料提供者は「飯寿司は脂乗りがいい魚でも必ずしもおいしくなるとは限らないため、見痩せしたカジカを利用してみるという着想は面白い」と、学生の試作品を評価。商品化が決定しました。
カジカを使った飯寿司の開発に取り組んだ学生2人は「製造開発を通じて、旬の魚を通年でも食べられるように加工品として提供できたこと、価値の低いとされた未利用資源に付加価値をつけることができて面白かった」と語りました。