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ニュースリリース

研究成果「遺伝子組換え体のバイオセーフティ技術の効果を高めることに成功 〜変異に対する抵抗性を高め、さらに安全な利用に貢献~ 」|バイオサイエンス学科 渡辺 智 准教授

2022年10月18日

教育・学術

 広島大学大学院統合生命科学研究科の廣田隆一准教授、東京農業大学バイオサイエンス学科の渡辺智准教授らの研究グループは、遺伝子組換え微生物の増殖を制限し、亜リン酸に厳密に依存させるバイオセーフティ技術(生物学的封じ込め技術注2))の安全性をさらに高めることに成功しました。
 現在、遺伝子工学の急速な発展によって、高度に分子育種された遺伝子組換えやゲノム編集微生物の開発が可能になっています。このような分子育種された微生物は、食糧・エネルギー・環境問題など、現在の地球規模の様々な問題を解決できる可能性を秘めています。しかし、遺伝子組換え微生物の屋外開放条件での利用は、組換え体の生物多様性へ与える影響が懸念されるため利用が厳しく制限されており、安全な利用法の開発が求められています。
 廣田准教授らはこれまでに、亜リン酸というリン化合物に組換え体の増殖を完全に依存させ、特定の条件下にのみ“封じ込める”バイオセーフティ技術を開発していました。この方法は、非常に高い効果をもたらすだけでなく、大規模な培養にも対応できる経済性も兼ね備えています。そのため、なかなか社会実装が進まない組換え微生物の屋外利用の現状に風穴を開ける技術として期待されています。

研究のポイント

  • 研究グループは、遺伝子組換え微生物を安全に利用するためのバイオセーフティ技術として亜リン酸注 1)依存性による生物学的封じ込め技術をこれまでに開発していました。この技術は、天然にはほとんど存在しない「亜リン酸」という物質に、遺伝子組換え微生物の増殖を依 存させるもので、高い安全性と実用性を兼ね備えています。
  • 今回の研究で、亜リン酸依存性による封じ込め技術の潜在的な弱点が亜リン酸を取り込む輸送体タンパク質の特定のアミノ酸に存在することを明らかにしました。
  • この輸送体タンパク質の詳細な解析を行い、変異に対する抵抗性を高めるアミノ酸に置換す ることで、弱点を克服することに成功しました。この発見は、亜リン酸を利用したバイオセ ーフティ技術の安全性レベルをさらに高めるとともに、亜リン酸輸送体の輸送メカニズムに関する新たな知見をもたらしました。

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