植物生理
不良環境での光合成に多様な光化学系を活用
農芸化学科
光、温度、水分の悪条件に対する光化学系の応答はよく研究されていますが、光化学反応に大量に必要な鉄が不足した時に光化学系がどうやって光合成を持続するのかはあまり研究されていません。私たちは鉄欠乏に強いオオムギ品種の葉緑体から、鉄欠乏でも光合成を持続するのに貢献する特徴的な構造を見出しています。
有害金属で壊れた細胞小器官をオートファジーで除去
農芸化学科
有害重金属を取り込んだ細胞内では、細胞小器官が損傷を受けます。私たちはそのような場合に、植物が細胞小器官の損傷部位を選択的に除去して細胞機能を維持するために、オートファジーが誘導されることを発見しました。植物細胞に見られるこの特殊なオートファジーの重要性やメカニズムの解明を進めています。
細胞間隙を塞いで有害金属の進入を阻止
農芸化学科
植物が有害な元素を吸収しない、あるいは排除するための細胞膜上の輸送体タンパク質はいくつも見つかっていますが、植物組織の細胞間の空間「アポプラスト」を移動する有害な元素を阻止する機構はまだよく分かっていません。私たちはヨシの根と茎の維管束の接合部の構造に注目して、ナトリウム排除機構を研究しています。
土壌のpHを感知して根の機能を調節
農芸化学科
土壌のpHも植物の良好な生育に必要な条件の一つです。これまでアルカリ性(高pH)ストレスに関して、鉄やリンが不溶化して吸収できなくなることに対する植物の応答が研究されてきましたが、私たちは高pHそのものによって根の伸長や地上部の生育が抑制される植物と抑制されない植物があることを見出しています。