東京農業大学

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教員コラム

東京農大が「食品メーカーに強い」理由の一端がここにある!

2016年2月17日

応用生物科学部 食品加工技術センター 野口 智弘 准教授

商品としての食品作りを体験できる施設

食品加工技術センターは、文字通り、食品加工技術のための施設。新たな保存技術の開発などにも使用される。
「中小の食品メーカーのプラントとなら遜色ない設備群と言ってもいいと思います。食品会社に就職しようという学生に、高校までの家庭科のような食品加工を教えても意味ないですから。企業の食品工場と同じように、最終的な製品、流通に乗り保存期間のある製品作り」を指導していると言うのは野口先生。商品としての均一化、品質管理を実践的に学ぶことができる。

「家庭で作るものは、長くても2・3日で食べてしまうというのが前提ですよね。自分で作ったものですから冷蔵庫に入れて保存・管理なども自分でできるでしょう。でも、商品として出回っているものは、味や食感も含め長期間同じ品質を保持させなくてはなりません。当然、微生物的な衛生管理も同様ですし、その商品がどのようにスーパーで売られ、消費者に管理されるか。これは千差万別です。ですから、商品として売られる食品は、こういった色々な事を想定し、如何に安全で安心な食品を作るかが重要です」。

そのためには、家でやっているような製造方法では意味はなく、実際の食品工場と同じ製造過程の中で学ぶ必要がある。また、教科書にいくら細かい説明まで書いてあっても、「現実にどうやって作るかは経験しないとわからないことだらけ」なのが常。実際の製造現場を体験してはじめて理解できることも多い。
 「卒業生からは、就職先での製造現場でここでの体験が非常に役に立ったというような声も多く聞こえます」。

実践的研究テーマに触れることができる効果

授業では作り方を学び、研究としては加工技術の技術開発をおこなうのが、食品加工技術センター。施設の所属は応用生物科学部だが、他の学部の学生も利用している。短期大学部の栄養学科、醸造学科、オホーツクの食品科学科、厚木の畜産学科など。「トータルで言えば、約半分の学科が利用しています」とのこと。

卒業研究をここでおこなう学生とって食品加工技術センターは研究室でもある。プラントの整った研究室だ。学科の枠を超えた学生の交流も自然と芽生える。

特筆したいのは、扱っている研究テーマの半数以上が企業との共同研究だということ。

企業から依頼がある産学共同の研究テーマであり、それだけ質が高く、すぐにでも実用化が求められているテーマが扱われていることがわかる。

たとえば「氷点下でも凍らない食品の開発」。温度が低くなれば微生物の活動や食品の変性速度は低下し保存も効くが、凍れば氷の結晶が素材の細胞を壊し品質が落ちる。食品を氷点下でも凍らせなければ、二つの課題が一気に解決することになる。

他にも「これまで加工過程で廃棄されていた素材の有効利用法の研究」や「余剰在庫の減少のための食品開発」など、環境に配慮した食品加工技術や、機能性、栄養価など付加価値を高める研究など、食品加工技術センターに寄せられるテーマは千差万別。それに応えうる研究実績と、設備があるということでもある。

こうした研究に参加したり、間近に見ることができることは、学生にとって計り知れない貴重な経験になることは言うまでもない。
もしかしたら、食品加工技術センターで開発された新たな食品が、すでに皆さんの食卓に並んでいるかもしれない。それほど、研究開発の成果は、一般消費者の「食」に直結している。

東京農大の卒業生の多くが食品メーカーに就職し、活躍している理由の一端が、この食品加工技術センターにあると言っても決して言い過ぎではないのだ。

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