ホーム研究活動学生が挑む!研究紹介イネの収穫の安定に役立つ指標を求めて イネの収穫の安定に役立つ指標を求めて 2011年8月1日 平成23年3月卒 作物生産学研究室 農学部農学科編入学 井上洋平 植物が光合成によってつくりだすデンプンやタンパク質などの有機化合物のことを同化産物といいます。水稲は、登熟初期の玄米発育においてこの同化産物に依存する度合いが、小麦やトウモロコシなどの他の作物よりも高いという特徴をもっています。イネにとって同化産物はとても重要であり、これが不足すると発育が停止し出穂後の成長に大きく影響するといわれています。 私は、出穂期以降のイネの内部で同化産物がどのように転流し蓄積されていくのか、その状態と推移を調査し、イネの収穫を安定させるための対策データを得ることをめざして研究に取り組みました。 過去の研究報告で、同化産物は出穂前の主に茎の部分に蓄積され、その後穂が出ると同時に葉から穂、籾へと転流していくことが明らかになっています。 しかし、出穂後の転流などに関する報告はまだ少ないのが現状です。そのデー タを収集すれば、効率の良い栽培手法を見いだし収量を上げることができるはずです。 研究用の栽培地は、厚木キャンパス近くの水田を使用しました。のべ30回近く足を運びイネの状態を観察し、時期別に4回にわたってサンプルを採取して同化産物の転流の推移のデータ収集に努めました。通うごとに季節や色の移ろいにふれ、春すぎのイネの移植前の土の茶色、移植した時の緑、秋初めのイネが生長し登熟してきた時の黄金色や茜色、他にも色々なものをみることができました。 私は農業を志しています。今回の研究を通じて、より科学的視点からイネにふれたことで、農業に対する気持ちは一層強くなりました。 前のページ 次のページ