東京農業大学

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学生が挑む!研究紹介

新しいテスト法で記憶消去のメカニズムを探る

2010年10月15日

平成19年3月卒 動物分子生物学研究室 アステラス製薬勤務 近内隆寛

結核治療薬であるD−シクロセリン(DCS)は、記憶の消去を促進する作用があることがあきらかになっています。私のその作用をパッシブアボイダンステストという新しいテスト方法で試みました。  この方法は、消去だけでなく一度思い出して再び思い出すことで記憶を固定する「再固定化」との関連を調べることもできます。  ポイントは、マウスが暗い場所を好む習性を利用するものです。仕組みを説明しますと、まず、明りがついている箱と真っ暗な箱を連結します。マウスは明るい箱に入れると、暗い方に移動します。そこで暗い箱に入った際、電気ショックを与えます。マウスに暗い部屋=電気ショックという恐怖記憶を植えつけるわけです。  その後、同じ経験をした2匹のマウスの片方にDCSを注射、しないマウスと後日、同じ実験を行い、反応を比較するわけです。記憶に残っていれば暗い箱に移るのをためらいますよね。この応用で「再固定化」のテストをおこないました。何度も繰り返し実験した結果、再固定化への関連の可能性が示されました。  記憶の消去や再固定化のメカニズムが解明できれば、トラウマやPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの治療にいかせる可能性も広まるでしょう。
  • DCSは記憶に関わるNMDA受容体を活発にする働きがあるといわれている。実験ではマウスのストレスなどを与えると実験に影響がでるので、細心の注意を払った。生物を扱う実験の難しさを実感した

  • 研究室の説明会で、記憶に関する研究に興味を持って、この研究室へ。

  • 研究室活動は、自分でスケジュールを立てやすく、自分のペースで研究ができる。

  • 生物を分子のレベルから研究する。難しそうなイメージだが「東京農大に入学できる学力があれば大丈夫です(笑)」。

  • 脳や記憶の研究をしていると、普段、何気なく考えたり、行動することも、全ては一定の原理に基づいていることだと感じられ、不思議な気分。そのメカニズムには脱帽。

  • 農友会ローバークルー部に所属、登山や多摩川の清掃活動などがよき思い出。

  • 就職先は2005年、山之内製薬と藤沢薬品工業が合併して誕生した製薬会社。病院などに医薬品情報を提供するMRとして活躍中。

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