東京農業大学

メニュー

ニュースリリース

【東京農業大学ガストロノミー】白川 健太シェフ×東京農大(世田谷キャンパス)学食「すずしろ」 特別コラボ企画「蝦夷鹿(エゾシカ)キーマカレー」を提供

2023年11月1日

お知らせ

東京農業大学は、「ガストロノミー」の観点から「食」の教育・研究を進めています。

「ガストロノミー」とは、料理とその背景にある歴史や文化、食材や調理・加工など、食を包括的に分析・考察する学問体系です。

世田谷キャンパスでは、ガストロノミーの一貫として「多様な食文化の発信」に力を入れています。食事や調理の面では、多数のシェフに客員研究員として協力を頂いており、今回ジビエ料理レストラン「レ・ココット」の白川 健太シェフと東京農大(世田谷キャンパス)学食「すずしろ」のコラボ企画として「蝦夷鹿(エゾシカ)キーマカレー」を提供します。

「蝦夷鹿(エゾシカ)キーマカレー」は、11月3~5日の世田谷キャンパス収穫祭期間中の限定販売となります。

東京農大の北海道オホーツクキャンパスには全国の研究機関で唯一、エゾシカの飼育施設があり、地域の特産物として利活用するための研究等を進めています。

今回オホーツクキャンパスと世田谷キャンパスの連携企画として、エゾシカの現状や肉の特性について、生物産業学部 北方圏農学科の相馬 幸作 教授に解説いただいています。

皆さまに多様な食文化の一端を味わって頂くとともに、知見を深めて頂ければと思います。

解説

相馬 幸作 教授

生物産業学部 北方圏農学科

家畜生産管理学研究室
研究実績
研究実績(English)

エゾシカの現状と農大の関わり

「エゾシカの現状」

 エゾシカは、北海道を代表する大型の哺乳動物です。近年では個体数の増加が著しく、北海道各地で農林業や交通への影響が出ています。特に、農林業被害が著しく、北海道におけるエゾシカによる農林業被害額(2021年度)は約44.8億円と、鳥獣による被害額(約54.5億円)の約8割を占めています。このため、北海道では全国に先駆けて1998年から「エゾシカ保護管理計画」を立案し対策にあたってきました。また、2014年から「北海道エゾシカ対策推進条例」を施行し、有効活用を含めたエゾシカ対策を推進しています。
 現在、地元猟友会の協力を得ながら、銃やワナによる捕獲を中心とした個体数調整と、貴重な天然資源として駆除個体を中心とした有効活用などの取り組みが行われています。

「オホーツクキャンパスにおけるエゾシカに関する研究」

 東京農業大学生物産業学部には全国の研究機関で唯一、エゾシカの飼育施設があります。また、当学部では地域の特産物を利活用するための研究や取り組みをサポートしています。このため、北海道が行っているエゾシカの有効活用について、これまでの知見を生かしながら協力を進めてきました。具体的には、エゾシカ肉を用いた食肉加工品やペットフードの開発、肉牛等の管理を参考にし、生体捕獲したエゾシカを牧場で飼育して肉質を高める一時養鹿事業の推進に協力してきました。また、エゾシカ肉を安心して食べていただけるように、一定の基準を満たしたエゾシカ肉製品に付与できる「北海道認証」を制定していますが、これらの取り組みに対しても、関係機関と協力しながら基礎データ集積に協力してきました。
 これにより、有効活用開始時に駆除された個体の有効活用率は1割程度でしたが、現在は2割までに増え、一部ですが北海道内のスーパーでも入手可能なお肉として一般的な食材になりつつあります。今後も、「命を大切に扱う」ことを肝に銘じながら、有効活用策を模索していきます。

「エゾシカ肉の特徴」

 エゾシカ肉は昔から滋養強壮の食材としても珍重されており、現在では「ジビエ」の代表食材として認識されています。エゾシカ肉の成分を調べてみると、高たん白質、低脂肪であり、鉄分が豊富であるなど、健康食品としても魅力のある食材であることがわかっています(表)。しかし、エゾシカ肉は一般的に言われている「赤身」の肉であり、「かたいお肉」と言われることもあります。しかし、肉の特性に合わせた調理方法にすることにより、クセのないやわらかいお肉としての認識が高まっています。また、ネット上でも様々な調理方法で楽しまれる食材となってきました。
 ぜひ一度、エゾシカ肉そのもののおいしさを堪能してみてください。

ページの先頭へ

受験生の方