動物生産分野 家畜生産管理学研究室
北海道はわが国最大の食料生産基地であり、多様な野生動物が生息する自然の宝庫です。このような環境を存分に活かした研究・教育として、自給飼料の高品質化、家畜の改良増殖技術、新規動物資源の開発、野生動物の生態調査などをテーマに取り上げています。具体的には、牧草成分の向上、サイレージの高品質化、受精卵移植による高能力牛生産技術や分娩誘起技術の開発などに取り組んでいます。また、エゾシカとエミューの肥育技術、エゾシカによる樹皮食害防止、コウモリの生息域や食性の解明などの研究も実施しています。学生は、飼料分析、栄養試験、解剖実習、家畜管理などの実験・実習や卒業論文研究を通し、基礎から先端まで幅広く動物資源の利用と管理について学ぶことができ、卒業後は農業団体、飼料・畜産関連会社などで活躍しています。
KEYWORDS
新規動物資源、エゾシカ、エミュー、ウシ、家畜飼養、家畜繁殖、ハズバンダリートレーニング、野生動物
家畜生産管理学研究室は、食料生産と動物資源の活用・保護への貢献を目指した研究に取り組んでいます。卒業研究は、動物の生理に関する分子レベルの研究から家畜や野生動物の管理技術まで幅広いテーマから選択できます。
所属教員
研究紹介
相馬 幸作 教授
エゾシカは北海道を代表する大型哺乳動物ですが、その生活は人の活動に翻弄され、農林業被害をもたらす害獣として取り扱われています。事実、現在行われているエゾシカ対策により、農林業被害額を一定に抑えていることも事実です。そこでエゾシカとの共存を模索するべく、阿寒摩周国立公園内にある阿寒湖畔の森林を舞台に、前田一歩園財団と共同でエゾシカの個体数調査や森林保護へ向けた調査を行っています。また、有害駆除されたエゾシカの有効活用に関する基礎研究、畑などへの侵入防止へ向けた共同研究にも取り組んでいます。
平山 博樹 教授
牛を中心に、家畜の繁殖能力を向上させるための技術開発に取り組んでいます。食卓に畜産物を安定供給するためには、健康でたくさんの牛乳を生産したり、食べやすくて美味しい牛肉を少しでも多く生産できる家畜が必要です。ところが、日本を含む多くの国々では乳肉の生産能力は高くても妊娠しづらい牛が増え、農家を悩ませています。家畜生産管理学研究室で、妊娠しやすい牛を見分けるマーカー物質を探したり、家畜が妊娠するメカニズム、母牛が元気に子牛を分娩するために必要な生理機能などの解明にチャレンジしてみませんか。
大久保 倫子 助教
オホーツクキャンパスでは全国でも珍しくエゾシカを学内で飼育しています。さらに私たちは飼育エゾシカをトレーニングしています!トレーニングすることで、エゾシカは何色が見やすいのか?図形や顔を識別できるのか?というような、行動学的な実験ができるようになります。そこでシカの持つ視覚の特性を調べることで、近年全国的に問題になっているエゾシカによる農林業被害対策に貢献することを目指しています。他にもマレーバクの餌の分析やペンギンの遺伝的多様性の調査など、動物園水族館と協力した研究も行っています。
研究室活動の様子
北海道では、農林業被害の軽減策として、エゾシカの個体数調整に取り組んでいます。その一環として、駆除したエゾシカを地域の有益な動物資源としてとらえて活用する取り組みが、全国に作画けて開始されました。研究室では、北海道が取り組むエゾシカ有効活用対策開始時から関わり、全国でも類を見ない
研究室で飼育している動物たちは、学生たちが当番制で世話をしています。世界で二番目に大きい走鳥類であるエミューや、エゾシカをたくさん飼育しています。エミューはオーストラリア原産ですが、北海道の厳しい冬もへっちゃらです。家畜飼育施設では、北海道和種馬(道産子)やヤギも元気に暮らしていて、学生は当番を通して家畜の飼育技術を学んでいます。
家畜生産管理学研究室の学生たちは、動物が好きなだけではなく、食べることも大好き!研究室で行うバーべーキューではシカ肉をいただくのが研究室の恒例です。シカ肉は共同研究を行っている知床エゾシカファームから入手します。シカ肉は他の家畜の肉に比べて、高タンパク質、低脂肪、鉄分も多くてとてもヘルシーなお肉です。オホーツクに来て初めてシカ肉を食べたという学生も多いです。