分子生命化学専攻の上原 佳夏さんによる研究成果がアメリカ化学会(ACS)の発行する専門誌に掲載
2026年3月13日
教育・学術
ケミカルバイオロジー研究室所属の分子生命化学専攻 上原 佳夏さん(博士前期課程 2年)らの研究成果がアメリカ化学会ACSの発行する専門誌『Chemical Research in Toxicology誌』に掲載されました。

概要
本研究では、神経系に存在するニコチン性アセチルコリン受容体に作用する殺虫剤の選択毒性(害虫受容体には強く作用し、哺乳類では作用が弱い)のメカニズムについて検討しました。害虫および哺乳類間での受容体薬物結合ポケットを構成するアミノ酸の違いによる選択性への寄与は数倍程度であるという結果から、薬物結合ポケット全体のカタチ(3D構造)や電子的環境の違いにより、殺虫剤の選択的相互作用を説明可能であるとの結論を得ました。すなわち、殺虫剤は、害虫受容体には自由エネルギーの低い安定した結合コンフォメーションで強く作用することに対して、哺乳類受容体へは不安定な複数の結合コンフォメーションが混在・競合するために作用が弱いという当研究室が以前から提唱している学説を支持しています。本研究は、優れた害虫防除効果と最大限の安全性を併せ持つ殺虫剤の分子デザインに寄与するものと考えられます。
論文タイトル
Selective toxicity of nicotinic insecticides: Responsibility of varied amino acid(s) in the ligand-docking pocket between insect versus mammalian nicotinic acetylcholine receptors
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acs.chemrestox.6c00005
