里山から考える能登復興プロジェクト 能登の仮設住宅で講演会を開催
2025年9月24日
教育・学術
東京農業大学 戦略研究プロジェクト「アテ林業の防災力を発揮させる能登地震からの創造的復興に関する研究」(研究代表:地域創成科学科 町田 怜子 教授)の一環として、三井町仮設住宅において、石川県の県木であるアテ(ヒノキアスナロ)林を含む能登の農村景観をテーマにした講演会を開催しました。
能登・三井町は、アテ林や茅葺き民家、能登瓦の家々、そして水田が調和する、美しくまとまりのある農村景観と、それを支える暮らしの営みが息づく地域であり、世界農業遺産にも認定されています。しかし、2024年の能登半島地震や9月の水害により、その景観も大きな被害を受けました。
このような状況を踏まえ、アテ林を含む三井町の農村をどのように未来へつなげていくかを地域の皆さまとともに考えるため、2025年9月12日、石川県輪島市三井町仮設住宅集会所にて講演会「三井町の未来に残す・伝える魅力」を開催しました。
講演会には、地域住民の皆さまをはじめ、東京農業大学 地域創成科学科の学生、富山大学や金沢大学の教職員、石川県在住の東京農業大学 卒業生も参加しました。
長年、三井町の農村景観を研究してきた麻生 恵 名誉教授は、アテ林を含む農村景観の視覚的特性や、地域の文化的活動・ライフスタイルに根差した価値について解説しました。
続いて、東京農業大学 卒業生で三井町に移住した山本 亮さん(一般社団法人のと復耕ラボ)より、アテ林業を体験する講習会に能登地域内外から多くの参加があることや、森の遊び場づくり、風景を残していくための古民家の買取・活用などの実践について紹介がありました。
麻生 恵 名誉教授(撮影:地主 恵亮)
一般社団法人のと復耕ラボ代表 山本 亮さん(撮影:地主 恵亮)
講演会後には参加者との対話が行われ、能登の里山の暮らしに根差した魅力や「三井町らしい風景」をどのように存続・再生していくか、特に茅葺民家が残る三井の美しい風景を残したいという声があがり、そのための社会的・経済的システム、さらには地域内外からの能登の里山やアテ林とのつながりについて活発な議論が交わされました。
今後も、能登地域の皆さまや能登に想いを寄せる方々との連携を大切にし、能登の創造的復興に向けた研究に取り組んでまいります。