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ニュースリリース

研究成果「長芋パウダーでエミューソーセージの食感が大きく向上」 | 食香粧化学科 中澤 洋三 教授ら

2025年4月4日

教育・学術

「ぷりっ」と美味しく、しかも健康的!
 長芋パウダーでエミューソーセージの食感が大きく向上

~北海道発・未利用資源の新たな可能性、加工食品に革新~

研究概要

食香粧化学科 中澤 洋三 教授らは北海道網走市で開発された「長芋パウダー」を使って、オーストラリア原産の大型鳥「エミュー」の肉で作られたソーセージの“食感”を大幅に改善できることを明らかにしました。

エミュー肉は高たんぱく・低脂肪でヘルシーな食材として注目されていますが、ソーセージに加工すると柔らかすぎる「ふにゃっ」とした食感が課題でした。研究では、長芋パウダーを3%加えることで、市販ウインナーと同等の「ぷりっ」とした食感や噛み応えを実現。さらに、舌触りや味の評価も向上しました。

この長芋パウダーは、生食用として流通できない規格外の長芋を凍結乾燥・粉末化して生まれた新しい加工素材で、食品廃棄物の削減や地域資源の活用にもつながります。

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社会的意義・応用可能性

本研究成果は、次の2つの大きな意義を持ちます。

1つ目は、食の多様化と健康志向への対応。エミュー肉は脂肪分が少なく鉄分が豊富なため、健康食品としての価値が高いにもかかわらず、食感の問題から商品化が進みにくい課題がありました。今回の発見により、より食べやすくおいしいエミュー製品の開発が可能となります。

2つ目は、地域資源の有効活用とフードロス対策。北海道は日本一の長芋産地ですが、形が不ぞろいなどの理由で出荷できない長芋が多く発生します。これを加工してパウダー化することで、地域の未利用資源が新たな付加価値を持つ食品素材として活用される道が開けました。

今後、ソーセージに限らず、ハンバーグや冷凍食品、さらにはベジタリアン・ヴィーガン向けの代替肉商品にも応用が期待されます。

今後の展望・課題

今後は、長芋パウダーの添加量や使用方法を最適化し、他の食肉加工品への展開を進める予定です。また、保存性や加熱調理による変化、安全性評価など、商品化に向けた実用研究を続けていきます。

地域産業の活性化と持続可能な食の未来に向け、東京農業大学では地元企業や自治体との連携をさらに深めながら、研究成果の社会実装を目指します。

【論文情報】
論文タイトル:長芋パウダーはエミューソーセージの食感を改善するか?
英文タイトル:Can Chinese yam powder improve the texture of emu sausages?
著者名:中澤洋三*・猿田圭城・宮本裕生・宮下慎一郎・南和広・相根義昌
所属:東京農業大学生物産業学部食香粧化学科
掲載誌:日本食品保蔵科学会誌 Vol.51

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