研究成果「ワックス量の調整で植物の乾燥・塩・高温耐性を増強させる仕組みを発見」|生命科学研究科 太治 輝昭 教授
2022年6月24日
教育・学術
地球温暖化の影響により世界中で干ばつ(乾燥)・塩害・日照り(高温)が多発しており、農業生産に甚大な被害が生じています。東京農業大学大学院 生命科学研究科の太治輝昭教授を中心とする研究グループ*1は、1)乾燥・塩・高温耐性が損なわれるシロイヌナズナの突然変異体を用いて、植物の全身を覆うワックス合成がそれらのストレス耐性に必須であること、さらに、2)ワックス量を調整することで植物の乾燥・塩・高温耐性を増強可能な遺伝子を発見しました。この遺伝子は植物の様々な環境ストレス耐性を向上させることから、干ばつや温度上昇など幅広い環境変動に適応する作物育種への応用が期待されます。
- 本研究はJSPS科研費(学術変革領域(不均一環境と植物: 21H05668)、基盤B: 19H03092) 、および旭硝子財団の助成を受けたものです。
本成果1)、2)は、国際科学誌「Frontiers in Plant Science」(電子版)に2報同時掲載されます。
研究成果のポイント
- 植物の乾燥・塩・高温耐性に必須の遺伝子としてワックス合成遺伝子を同定
- ワックス量を調整する遺伝子を発見し、植物の乾燥・塩・高温耐性を向上させることに成功
- 温暖化によって頻発する干ばつや温度上昇など幅広い環境変動に適応する作物育種に期待
*1研究体制
東京農業大学大学院 生命科学研究科
太治輝昭 教授、坂田洋一 教授、四井いずみ 助教
東京農業大学大学院 農学研究科 博士前期課程
福田紀香(当時)、梶野拓磨、山口将弘(当時)、小山隆(当時)、成島純平(当時)
東京農業大学 生物資源ゲノム解析センター
田中啓介 助教
東京農業大学 超微細形態解析室
矢口行雄 教授
産業技術総合研究所 生物プロセス研究部門 植物機能制御研究グループ
大島良美 主任研究員、中村彰良 研究員
農研機構 遺伝資源研究センター
有賀裕剛 研究員