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ニュースリリース

研究成果「植物の水分欠乏耐性に必須の遺伝子を同定」|バイオサイエンス学科 太治 輝昭 教授

2022年3月30日

教育・学術

 東京農業大学は、世界各地から採取したシロイヌナズナから水欠乏に耐性を示す野生系統を見出し、その水分欠乏耐性に必須の遺伝子を発見しました。これは、東京農業大学生命科学部バイオサイエンス学科の太治 輝昭 教授らが農研機構・奈良先端科学技術大学院大学など他機関との共同研究(*1)によって得られた成果です。

 今回の研究成果は、科学雑誌「Plant Physiology」(IF=8.340, オンライン版 3月22日付)に掲載されました。

 植物にとって水分欠乏は最も頻繁にさらされるストレスの1つで、その生育や収量に大きな被害を及ぼします。モデル植物として分子生物学的研究に広く利用されているシロイヌナズナは、世界中の様々な地域に生息し、その数は1000以上に上ります。研究グループはその先行研究において、シロイヌナズナ野生系統には水欠乏耐性に大きな多様性があること、さらにはACQOSと名付けた遺伝子が水分欠乏耐性の有無を決定することを明らかにしました (Ariga et al. 2017, Nature Plants DOI: 10.1038/nplants.2017.72)。しかしながら、水分欠乏に耐性を示すシロイヌナズナ野生系統が、どのようにしてその耐性を獲得しているのか不明でした。

 本成果では、水分欠乏に耐性を示すシロイヌナズナ野生系統から、水分欠乏耐性が損なわれた突然変異株を単離し、その原因遺伝子を同定することに成功しました。植物は厳しい水分欠乏にさらされると免疫応答が誘導され、結果的に細胞死に至ることが知られていますが、その原因遺伝子は水分欠乏にさらされた際に免疫応答を抑制する「ブレーキ」の役割を果たす遺伝子であることが分かりました。

 本研究は、JSPS科研費(19H03092、21H05668)および旭硝子財団の助成を受けたものです。

 

*1 研究体制

東京農業大学・生命科学部・バイオサイエンス学科
研究代表者 太治輝昭教授
内田康平(当時 博士前期課程)(*2)、山口将弘(当時 博士前期課程)(*2)、金盛一起(博士前期課程)、礒野一帆(当時 博士後期課程)、梶野拓磨(博士前期課程)、四井いずみ助教、坂田洋一教授

農研機構・遺伝資源研究センター
有賀裕剛研究員

東京農業大学・生物資源ゲノム解析センター
田中啓介助教

奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科
西條雄介准教授

*2 共同筆頭著者

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