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教員コラム

南米原産「ペピーノ」アンデスの恵みを農大ブランド化へ

2017年9月1日

農学部農学科 准教授 高畑 健

ペピーノとは

 ペピーノ(Solanum muricatum Ait. 写真1)はトマト、ナス、ピーマンなどと同じナス科の野菜(果菜類)で、原産地は南米のペルーやエクアドルとされている。日本には、1983年に果物としてニュージーランドから導入され、その翌年頃から栽培されるようになった。しかしその後、日本でのペピーノ栽培は定着せず、下火になっていった。現在では、原産地よりもニュージーランドやスペインでの栽培の方が盛んであるようだ。
 ペピーノはメロンのような味と香り(洋ナシのような香りも?)がして、とてもみずみずしい。食べ方としては皮をむき、サラダに添えられているトマトのようにカットして、そのまま食べるのが一般的である。果実の形は丸~楕円型、丸みのある円錐形やハート型と様々である。また、果実の大きさはテニスボールくらいから大きめのリンゴくらいまであり、大玉トマトくらいが平均的だと思われる。


ペピーノプロジェクトについて

 日本でペピーノが栽培され始めた頃の「日本農業新聞」によれば、市場で求められていた果実の糖度は10%以上であった。しかし、出荷された国産ペピーノは糖度が6~8%と低かったため、市場で取り扱われなくなっていき、日本でのペピーノ栽培は次第に廃れていった。現在、国内でペピーノは市場に出回っておらず、インターネット上でもペピーノ果実の販売はほとんど見られない。また、全国の農業(園芸)試験場や大学においてもペピーノに関する研究報告を聞かないため、ペピーノに関する研究はされていないと思われる。そのため、美味しいペピーノが簡易に安定生産されれば、再びペピーノは注目されると考えた。そこで、美味しいペピーノ果実で農大ブランドを作り出し、近い将来に「ペピーノと言えば東京農大」と全国に認識されることを目標に、平成28~30年度の大学戦略プロジェクトの一つとしてペピーノプロジェクトを進めていくこととなった。
 プロジェクトの研究内容は、果実を美味しくするための栽培方法の開発、美味しい果実の新品種育成、病害虫防除、美味しい加工食品の開発、果実の鮮度保持や機能性成分の探索についてなどである。つまり、生産から加工、流通に至るまで幅広い課題を解決するとともに、ペピーノのさらなるポテンシャルを追求していく。
 プロジェクトのメンバーは、農学科・畜産学科・バイオセラピー学科の教員、伊勢原農場技術職員、事務職員ら農学部の学科や教職員を横断するオール農学部体制で取り組んでいる。


これまでに得られた研究成果

(1)美味しいペピーノ果実生産を目指して
 ペピーノの高糖度果実生産のための“リング処理”技術(写真2)を開発することができた。この方法は、ワッシャーの穴にペピーノの挿し穂を通して挿し芽をして栽培するだけである。挿し芽後、そのまま生長させることで、茎の一部の肥大が抑制されて光合成産物の根への転流を阻害し、その結果、根の生長が抑制されて根量が減少する。果実が甘くなるメカニズムとしては、根量が減少するため根からの吸水が抑えられ、植物体が低水分状態になって果実に水分が届きにくくなり、果汁が濃縮したものと考えられる。この方法は非常に簡易なため、生産現場での普及が期待される。なお、この“リング処理”は、「根量減少植物栽培方法」として特許を取得した。

(2)新たなペピーノの活用方法
 病害に関する実験において、ペピーノはトマトがかかりやすい青枯病や萎凋病に強い抵抗性を持つことが確認された。また、ペピーノとトマトは接ぎ木親和性が高いことも認められた。そのため、ペピーノはトマトの耐病性台木としての利用が出来るのではないかと考えた。
 その結果、青枯病菌や萎凋病菌に汚染させた培養土でペピーノを台木にしたトマト/ペピーノ(写真3)を栽培したところ、ほとんどが枯れずに生長した。また、トマト/ペピーノからは美味しいトマトが収穫できることも実証された。トマト農家でのペピーノ台木の普及が大いに期待される。


今後の展望

 現在は、美味しいペピーノの新品種育成、美味しい加工食品の開発、機能性成分の探索などの研究を進めている。
 最終的な目標は、農大オリジナルの栽培技術や品種の開発で、甘くて美味しい農大ペピーノ果実を作り出し、皆さんの食卓にお届けすることである。そして将来、「農大ペピーノ」のフレーズが浸透することを願っている。

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