東京農業大学

メニュー

教員コラム

畜産マネジメントの明日を担う、「飼料米」という農業革命。

2010年10月15日

農学部 畜産学科 畜産マネジメント研究室 信岡 誠治 准教授

石油代替燃料として注目されているバイオエタノール。信岡准教授は「このバイオエタノールが、日本の畜産に大きな影響を与えているのです」と危惧しています。これまで飼料用だったトウモロコシがバイオエタノール用に振り向けられることによってトウモロコシ相場は高騰が続き、飼料用トウモロコシの99%を輸入に頼っている日本にとって壊滅的な出来事につながりかねません。畜産経営者が抱える難題に、唯一の解決策を見いだしているのが畜産マネジメント研究室。現在、トウモロコシに替わる飼料米の実験事業に取り組んでいます。

飼料米とは、タンパク含量をできるだけ高くし、収量をできるだけ高めるように栽培した家畜用の飼料穀物です。これまでは輸入トウモロコシに比べ7倍近くの価格差があったため、国産飼料米の導入など非現実的だと学生たちからも笑い声があがったこともあります。

しかし昨今のトウモロコシ価格の高騰によりその差は縮小。さらなるコスト削減と品種改良によって、飼料米は実用段階まで来ています。「国内では減反政策によって水田が余っているのが実情。これらをフル活用できるというメリットもあります」と力説します。

さまざまな品種の生産力検定試験に取り組み、有望な品種の探索に努めてきました。そこから見いだされたひとつが「関東飼226号」。収量も多く、大粒で、玄米は乳白米で識別性があり、食用には適しませんがタンパク含量も高く飼料用には最適の品種です。

研究室では飼料米の利用についても試験を行っており、その結果、飼料米を与えた鶏の卵はオレイン酸などが増加してヘルシーであるなど、畜産物の品質向上に貢献することもわかってきました。飼料米の普及は日本の食料自給率向上の切り札として、さらには日本の畜産業、農業にとっても革命になる事業。

「不可能だと思っても、まったく新しいアプローチからチャレンジしてみる。信念と実行、そのことを学生たちに学んでほしい」。

img_01.jpg

img_02.jpg

img_03.jpg

img_09.jpg

img_08.jpg

img_04.jpg

img_05.jpg

img_07.jpg

img_06.jpg

ページの先頭へ

受験生の方