東京農業大学

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教員コラム

次世代の家畜エミューは高タンパク低カロリー

2016年2月18日

生物産業学部 食品香粧学科 生物資源化学研究室 中澤 洋三 教授

網走市ではオーストラリアの国鳥エミューが1千羽以上飼育されています。いずれもワシントン条約で規制される以前に輸入され、その後に繁殖させた、いわば国産のエミューです。生物産業学部では、かねてからこのエミューを網走の地域資源にしようと、飼育法の確立や商品開発に取り組んできました。すでにエミューの良質な脂肪分に着目して開発された「エミューオイル」はスキンケア商品として販路に乗り、卵を原料としたどら焼きは、期間限定ながら人気商品です。残すは肉の有効活用。食の化学研究室では、それぞれの部位の特性を活かした加工食品の開発を進めてきました。

鉄分豊富でコラーゲンもたっぷり

エミューのモモ肉に含まれる鉄分は豚の6倍以上、対して脂肪やコレステロールは半分以下です。まさに高タンパク低カロリー。栄養学的に理想的なモモ肉は、食肉としての普及が期待されています。
この魅力あるモモ肉はソーセージに。赤身の多いモモ肉は、ただ加熱しただけでは黒く変色して見た目も悪くなってしまいますが、塩漬する際に欠かせない亜硝酸塩を加えると、本来の赤味が生きた鮮やかな紅色になり、食欲をそそります。

一方、首、スジについては、硬く加工が困難とされていましたが、首肉は細切・成形してソフトジャーキーに。官能試験ではビーフジャーキーよりも「おいしい」と好評です。

スジ肉は圧力をかけて加熱することで柔らかくなり加工が容易に。また、スジ肉からたくさんとれるコラーゲンは、肌に潤いを与える成分として女性に人気で、食品としてばかりでなく、スキンケア素材としても受け入れられることでしょう。

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試作を重ねて出来上がったエミュージャーキーとソーセージ。余計な添加物を加えず、肉本来の風味を大切に仕上げた。

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