東京農業大学

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教員コラム

生物を使った研究手法は、脳科学の最先端でも通用しています。

2010年10月15日

応用生物科学部 バイオサイエンス学科 動物分子生物学研究室 喜田 聡 教授

動物分子生物学研究室では、遺伝子組み換えマウスを使いながら、生命のもつ不思議な機能の解明を行っています。科学技術振興機構(JST)の戦略的創造研究推進事業にも選ばれた喜田教授のチーム型研究は、他の医療研究所等とも共同で研究が進められており、現代社会で問題が大きくなりつつあるストレス性疾患への対応策として注目を集めています。研究室での学びと最先端の研究についてお話をお伺いしました。

「PDSD(心的外傷後ストレス障害)の原因、つまり恐怖記憶は、事故や災害などをきっかけに固定化され、貯蔵されます。そして、何かのきっかけで再び思い出したあとに、その記憶が再固定化されます。この再固定化を防ぐことができれば、恐怖記憶を壊すことができ、病気も治癒するはずです」。

喜田教授が行っている研究は、記憶に関係する遺伝子CREBの研究。遺伝子組み換えマウスを毎日観察し、地道な記録を学生たちと一緒に取り続けています。

医学の分野でも精神疾患の研究は進められていますが、目的が治癒行為中心となるため、疾患の根本的なメカニズムを解明するのは不得手。喜田教授の研究成果に期待がかかります。「遺伝子組み換えマウスを使っての実験は、100~200匹を良く見ないと分からないほど。研究室では、マウスの生活サイクルを観測するだけではなく、ちょっとした行動の変化にも機敏に反応します。命を扱う研究室特有の緊迫感でしょうか」。この研究室での取り組みをきっかけにして、医療関係の進路に進む学生も多数いるそうです。もちろん、別の分野に進むにしても、真剣に研究した成果は必ず社会に還元されていきます。

臨床研究と分子科学の架け橋となる、生物学のこうしたアプローチは、時代とともにますますニーズが高くなっていくことでしょう。「知識は進化します。数年で変化する知識よりも研究を続ける根気や着眼点こそが重要です」と喜田教授は教育方針を話してくれました。

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