東京農業大学

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教員コラム

お酒を造る技術で生ごみをエネルギーに?!

2009年7月17日

応用生物科学部醸造科学科 教授 鈴木 昌治

未来のエネルギー「バイオマス」

いま世界的な問題となっている地球温暖化。その原因となっている二酸化炭素は、18世紀の産業革命以降、石油や石炭などの化石燃料の使用により爆発的に増加し、大気中の二酸化炭素濃度は、200年前の約1.4倍の400ppmにも達しています。

一方、化石燃料も底をつきつつあり、世界の埋蔵原油はあと40年分ほどしかないといわれています。石油の供給を99%輸入に頼っている日本にとって、代替エネルギーの開発は急を要しています。

そこで注目されるのが、バイオマス(生物資源)エネルギーの開発です。1年間に地球上で生産されるバイオマスは、海陸あわせて1700億トン。現在使われているエネルギーを10倍まかなえる上、二酸化炭素の抑制にもつながります。

 

世界初の固体発酵法でエタノールを生産

このバイオマスのエネルギー化を、私たちは醸造技術を使って成功させました。利用したバイオマスは、生ごみを肥料にした「みどりくん」。生産環境化学研究室で開発され、学内で生産されています。

この「みどりくん」に焼酎用の麹菌と酵母を使い、固体のまま発酵させ、蒸留すると燃料用のエタノールがとれます。「みどりくん」10kgから1リットルのエタノールが生産できる。ということは、約80kgの生ごみから1リットルくらい生産されるということです。しかも、残りかすは肥料になるので、これまでの液体発酵のように廃液の処分に困ることもありません。

現在、日本で1年間に出る生ごみの量は約2千万トン、東京ドーム16杯分といわれ、その90%が焼却処理されています。これをエネルギーに代えられれば、地球温暖化や化石燃料の資源削減にもつながり、循環型社会の実現も夢ではありません。(醸造環境科学研究室)

 

だから「応用生物科学部」はおもしろい。

応用生物科学部では、生物学と化学における最新の理論や最先端の技術を使って、生物の生命現象を追究し、農学の新しい可能性に挑戦しています。

人間を含めた地球上の生命の不思議に迫り、遺伝子レベルで生物のしくみを解き明かすなど、生態系のバランスや食料問題、人間の健康、地球環境の保全といった地球の未来を支える学問を展開しています。

基礎から応用への積み上げ方式で、有機化学、生物化学、微生物学、分子生物学の実験・実習を実施。さらに学生と教員との連携した研究活動を通じ、着実に専門知識と技術を身につけていきます。

研究分野も多彩で、食品、医薬品、化粧品、農薬用薬剤などの化学産業界から注目されています。

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