東京農業大学

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教員コラム

作物の収穫高を上げる「光合成」の秘密とは?!

2009年7月17日

国際食料情報学部国際農業開発学科 教授 小塩 海平

光合成と作物の成長との関係とは?

作物の成長になくてはならないもの、何だか知っていますか?

それは光合成。植物が成長するとき、日光にあたることによって二酸化炭素と水から炭水化物をつくる作用のことです。イネやムギ、ダイズ、サツマイモなどの作物は、この光合成をどれだけ活発に行ったかによって、糖やデンプンの量が変わり、収穫高に差が出ます。つまり、光合成を高めることにより、作物の収量が増えるというわけです。

この光合成を効率よく作用させるためには、土地面積当たりの葉面積を大きくすること、葉を過剰に生い茂らせず、最適な葉面積を維持すること、葉に光が均一によく当たるようにすること、収穫期までの葉のチッソ濃度を高く維持することが大切です。

 

「根」からの水分吸収が大切

さらに、最近の研究で、光合成には「根」の働きが重要であることがわかってきました。

光合成に必要な二酸化炭素の吸収は、葉の表面に分布している気孔を通じて行われますが、気孔は夜には閉じていて、朝明るくなると開き始め、夕方になると閉じるという日変化をしています。気孔開度が大きい日中に光合成の速度も高まりますが、気温が高くなって葉から多量の水分が蒸発すると気孔開度が小さくなってしまうのです。これを防ぐには、「根」からの吸水量を多くして、葉の含水量を低下させないことが重要になります。

灌水状態で育つイネは別にして、他のムギやダイズ、サツマイモなどは土壌水分が低下しやすいので、土壌に有機物を加えるなどの土づくりや、深耕により作土を深くすることがより重要になっています。

(熱帯園芸学研究室)

 

 

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