東京農業大学

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東京農業大学の研究活動

次世代型シーケンサー

これが相棒です!

第1回

 生物の設計図と呼ばれるゲノム情報。DNAの塩基配列をACGTの4文字で表したもので、その長さは大腸菌で約400万文字、人では30億文字にもなる。この膨大な文字の配列を解読する装置がシーケンサーである。東京農業大学は2008年、解読スピードが格段に速い「次世代型シーケンサー」をいち早く導入した。その後も新機種の導入を続け、現在は小型から大型まで4台を運用している。

 「いずれも1億円近くから3500万円までと高額で、それぞれ得意分野があるので、研究対象によって使い分けています。最も新しい2016年度購入のNextSeqは、2003年に10年がかりで世界で初めて解析したヒトゲノムを、10日ほどで終えてしまいます。次世代型シーケンサーをこれだけの規模で運用している大学は、医学部を除く私立大、農学系学部では他にありません」

 こう語るのは、次世代型シーケンサーを運用する生物資源ゲノム解析センター長で生命科学部長の矢嶋俊介教授だ。

 センターは文部科学省の共同利用・共同研究拠点事業に指定されており、北海道から沖縄まで、全国63の国公私立大や研究機関と共同研究を行っている。これまでに、国の天然記念物で山口県の見島に生息する見島牛やイネ品種で酒米の雄町、青首系ダイコンなど多くのゲノム解析を進めてきた。累計サンプルはこれまで3万5000に達している。

「人のふん便から腸内で生息する細菌の種類を特定する研究にも利用されました」と矢嶋教授。田中啓介・助教は、大気中に飛散している花粉を研究している。「シーケンサーによって春の3カ月間で、1000種類もの花粉を見つけた時には、数の多さに驚きました。気象衛星のデータと組み合わせることで、スギやヒノキの花粉の飛散を抑えることにつなげられないかと考えています」

 矢嶋教授は「ゲノムという言葉はよく聞かれるようになりましたが、その実態はとてつもなく膨大なACGTの文字の羅列です。そこから何を読み取るかが研究者の仕事ですが、農生命科学でも、未着手な分野が少なくありません。今後、ゲノム解析によって多くの研究分野で新しいステージが開けていくことは間違いありません。そのお手伝いをするのがセンターの役割です」と語っている。

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