東京農業大学

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ニュースリリース

新年のご挨拶

2023年1月1日

お知らせ

学長  江口 文陽

 2023年を迎えました新年あけましておめでとうございます。

 2022年も新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大や罹患状況によって、国際交流は活動制限をせざるを得ませんでした。国際社会は、社会構造や感染防止対策を講じながらの国際的な交流を推進しようと試みています。我が国においても国際交流の活動は復活しつつあり、感染抑制には配慮しながら新たな取り組みを東京農業大学でも推進します。

 東京農業大学は、学際的な研究を進展させて、知識を有した人材を社会に輩出するために、多様な専門性を持った教職員が学生の教育と研究にチーム力を持って対応することと考えています。東京農業大学の学生諸君の人間力を高めるためには、教育の質が大切です。

 近年、我が国の教育環境は大きく変化しました。偏差値や机上の知識のみの学びでは応用力、独創的な発想は生まれません。そこで重要なのが実験や実習などの経験を通した学びです。小中高などの教育においても探求学習が重要視されていることからも理解していただけることでしょう。

 東京農業大学の専門領域である「農学」は、田畑で作物を生産する学問というイメージを持つ方が多いのが事実です。大学進学を目指す高校生もそういった考えを強く持っています。「農学」の分野でも特に東京農業大学のように幅広い「総合農学」を扱う機関は、山の頂上から森林、里山、都市、河口、海洋へと繋がる全ての環境、すなわち私たちの身近な生活と密接した場所すべてに学術探究の環境が広がっているのです。

 食料、衣料、住宅材料や医薬品などに関する基礎から応用への研究、森林や海洋など地球環境をとりまくグローバルな研究、さらには化石燃料に代わるエネルギー資源の開発にまで至っています。さらに総合農学の技術改革は、国を挙げた農業形態としてICT(情報通信技術)やAI(人工知能)などの先端技術を利活用した農業の省力化を進めることで生産効率を高める取り組みもあります。こうしたスマート農業の推進とともに、学生自らが五感で感じ取り、不思議に思ったことや疑問を「自らが調べる」、「人に聞く」、「実験する」とした行動や実装によって知識や技術を自らの力としていく教育の場が、「東京農業大学らしさ」の学びになるものと確信しています。

 大学教育においては、幅広い見識を集積することが必要となります。実社会においても、これまではいろいろな部門を経る「ジェネラリスト」が求められてきましたが、特定分野に特化した「スペシャリスト」としての役割を担う人材にも期待が寄せられており、社会情勢に応じた教育システムを東京農業大学に整備することが大学ブランドの構築になるものと考えています。さらに、東京農業大学らしさでもある「人を思うこころ」を持った行動を大切にしていく教育と研究さらには課外活動の推進を目指したいと思います。

 さらに「食」を教育・研究する東京農業大学だからこそキャンパス内に農ある風景を産み出すとともに食事や料理と文化の関係を考察することも大切であると考えています。今年度はすでに「東京農業大学ガストロノミー」として食材を通したキャンパス交流の強化を始めています。北海道オホーツクキャンパスの学生諸君は地域の漁協などにアルバイトしてホタテの養殖や増殖の担い手として活躍しています。その海産物のホタテ貝を網走漁業協同組合から提供いただき学生が衣を付ける調理をしました。さらに厚木キャンパスからは学生の育てたサツマイモ、世田谷キャンパスと研究圃場からは学生の育てた生シイタケが収穫されました。これらの食材を調理して三キャンパスの食堂にて「ホタテフライカレー」、サツマイモとシイタケをふんだんに使った「豚汁うどん・そば」が安価で学生に提供されました。このようなイベントは学生の力を結集しながら継続していきます。すなわち東京農業大学三キャンパスの食材や人材の交流が活発に行われそれぞれの地域を意識した大学の文化を高めていきたいと考えています。

 学生と教職員は本年も「東京農業大学らしさ」にちなんだ多くの活動に取り組み成果を上げ、東京農業大学のブランド力の向上とともに実学主義の大学として教育研究活動に一層取り組んでまいります。

 東京農業大学へのご支援、ご協力を心よりお願い申し上げ、新年のご挨拶といたします。

世田谷キャンパスで栽培したイネを「食と農」の博物館所蔵の古農具「千歯扱き」を使って脱穀

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