東京農業大学

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ニュースリリース

身近なみどりの効用 ~クスノキの抗菌効果~

2020年4月30日

クスノキの抗菌作用

地域環境科学部 森林総合科学科 上原 巌 教授

 新型コロナウイルスはいまや世界を席巻し、2020年は現代史の中でも特筆すべき年になりました。

 そんなコロナ渦のなかで見直されたのが、私たちの身近なみどりの存在です。

 みどりと言えば森林ですが、都市部からは遠いところにある。そんな時は、身近な街区公園だけではなく、お寺や神社にある寺社林もおすすめです。寺社林には保存樹木も多く、その土地の自然植生が残っている場合もあります。

 さて、その寺社林に数多いのがクスノキです。クスノキは、もともとは西日本の暖帯、特に九州に多い樹木ですが、関東にも数多く植栽されています。クスノキから抽出される樟脳は衣類の防虫剤として今でも使われていますね。クスノキにはカンファーという抗菌作用を持つ芳香成分が含まれており、その香りで自らの樹体も保護しています。そのためか、長寿の樹木でもあり、全国の寺社林の中で、長寿樹木の代表はクスノキです。

 そのクスノキの抗菌作用を農大構内のクスノキを使って簡易実験をしてみました。

 クスノキの葉をビニール袋で24時間覆い、その香りをトラップします。寒天培地の上に大腸菌を置いたシャーレを20個準備し、10個のシャーレはそのままに、もう10個のシャーレにはトラップしたクスノキの香りを入れて置いておきます。すると、何もしなかったシャーレの中の大腸菌はぐんぐん大きく成長しますが、クスノキの香りの入ったシャーレの中の大腸菌はさほど大きくなりません。統計計算をすると、その有意差も明確に出ます。つまりクスノキの香りは大腸菌の成長を妨げることがわかります。

 普段何気なく眺めているクスノキですが、このような抗菌作用を持っているのですね。

 今度、寺社林でクスノキを見かけたら、その樹冠のもとで心身をリフレッシュしてみてください。

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農大・世田谷キャンパスの正門にあるクスノキ

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クスノキの香りのトラップ

▼実験3週間後の変化:クスノキの抗菌作用があらわれています

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クスノキの香りの入ったシャーレ内の大腸菌

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クスノキの香りが入っていないシャーレ内の大腸菌

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