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ニュースリリース

第8回「食・農・環境」教育フォーラム」を開催しました

2014年1月22日

教育・学術



第8回「食・農・環境」教育フォーラム」 実施結果(2013年12月18日開催)


(食料環境経済学科・五條満義)

 
1.第8回「食・農・環境」教育フォーラムは、「若者に魅力ある農業農村とその未来?実習地の経営者たちが語る」の全体討議テーマのもと、2013年12月18日(水)に、東京農業大学百周年記念講堂で開催しました。本フォーラムは、東京農業大学「食・農・環境」教育研究プロジェクト、同大学農業経済学会、食料環境経済学科、国際バイオビジネス学科の4者の共催によって行われ、本学の学生・教員や一般来場者を合わせて、約900名が聴講しました。


2.2013年は、食料環境経済学科の創設75周年、国際バイオビジネス学科の15周年を迎えました。両学科は、本学の実学主義に基づく教育活動を展開してきましたが、その重要な一環が農村現場における実習プログラムであると言えます。
そこで、今回のフォーラムでは、両学科の周年事業を意図した企画とし、各地で先駆的な農業経営や農村振興に取り組まれ、かつ実習受入先でもある経営者の方々をパネリストに招き、農業農村の魅力を日々の実践活動に基づいて語ってもらいました。同時に、農業農村の未来をどう描くのか、次世代へのメッセージも込めて理念あふれる報告内容を組み立てていただきました。


3.フォーラムの冒頭、二人の座長のうち、食料環境経済学科の北田紀久雄教授が座長報告を行いました。この中で、長年にわたる実習プログラムの軌跡と、それが、本学の建学の精神を、最も象徴的に具体化してきた教育活動の一環である点にも言及しつつ、全体討議テーマの趣旨を解説しました。
続いて、パネリスト報告が行われ、第1報告の栗原悠次氏(福岡県八女市)は「八女茶の経営と産地振興から、世界ブランドを目指す」、第2報告の武田晃氏(長野県中野市)は「果樹経営に基づく地域活性化とワイナリーの展開」、第3報告の小林和夫氏(長野県長和町)は「中山間地域の資源を生かす取り組みと食農教育の展開」というテーマで、それぞれの経験に裏付けられた説得力あるお話を賜りました。


4.パネリスト3名の報告は、いずれも?高付加価値型の農業経営を確立されてきたご努力の過程と実習受け入れをめぐる取り組みの、両面をバランスよく組み立てて下さったこと、?農業を軸とした地域振興への思いが随所に盛り込まれたこと、さらに?実習生に対する教育的な視点をベースとした内容であったと強く認識させられるものでありました。
総合討論は、もう一人の座長である国際バイオビジネス学科の稲泉博己教授の進行により行われました。実習先と卒業生との継続的なつながり等が話題になった後、会場からの質問票をもとに、?生産物の品質保持に向けて実習受け入れ時の作業をいかに指導されているのかといったことから、?TPP問題まで幅広い論点が議論されました。加えて、討議の結びに、今後実習生となる各学科の1年生全体に向けて、パネリストの方々からの貴重なアドバイスをいただきました。


5.本フォーラムの全体討議テーマである「若者に魅力ある農業農村とその未来」をめぐって、パネリスト3名の方々は、各人の今後の実践活動への抱負も含め、極めて重要な視点を数多くご提示下さいました。とりわけ、栗原悠次氏は、リーフの茶の消費量が減少している状況を踏まえて、「日本には元々、茶を飲むことを通じて、人と人がつながって行くという和みの文化がある」と指摘し、若者などへの文化の伝承・発信と一体化した茶経営の展開を続けて行きたいという趣旨を力説されました。
また、武田晃氏は、農業やワインに関する事業展開において、一層自らの地域との密接な関係を重視されて行く方向を語られました。「例えば、ワインも地元への普及に力を入れて行くこと、地元に十分商機があること」を展望しつつ、また、フォーラムの聴衆に対して、「各自の出身地を見直し、大切にすること」を訴えかけてくれました。
さらに、小林和夫氏は、「将来にわたり最も多様な可能性を持っている業界は農業界である」と明言され、その上で、農業の発展に向けて、若い担い手が備えるべき素養として「知識と知恵の両面」を取り上げ、特に物事を実行する際の応用力としての、「知恵の大切さ」を強調されるなど、多くのご助言を盛り込んでいただきました。


6.以上、討議内容等についてポイントを紹介しました。今回のフォーラムを通じて、?農業の持つ多面的な価値や今後の幅広い可能性が強く認識されたこと、?地域を見つめ直し、それと一体的に農業の発展方策を考えて行くことの重要性がクローズアップされ、さらに?農業実習に臨む心構えなどが明快に受講者である学生に伝わり、意義深い教育効果があったと成果を総括します。
なお、本フォーラム開催をめぐり、パネリストの方々をはじめ関係各位のご尽力・ご指導に、深く感謝申し上げます。

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