東京農業大学

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国際交流・留学

新世紀の食と農と環境を考える 世界学生サミット(ISS)

開催日:2001年11月19、20日
開催場所:東京農業大学

東京農業大学創立110周年を記念して、「食と農と環境を考える世界学生サミット」が開催された。世界13カ国・地域から参加した学生が、食と農と環境についての現状と将来の課題について議論した。ここに、私達は本サミットでの意見を集約した東京宣言を公にし、世界に対して、以下のように提言する。

  1. 農業は人が生きていくための食料の生産を行うという重要な役割を担っている。1950年代からの人口増加に合わせて、緑の革命によって食料生産を増大させてきて、多くの化学肥料や農薬の投入により環境や健康への悪影響も発生した。現在も世界的に食料増産と貧困解放が必要であり、農業の果たす役割は絶大である。『私達は、農業が持つ生命産業としての価値を再認識し、新世紀の発展方向として、各地域特有のエコシステムを尊重し、伝統的な知恵と近代科学技術の融合によって、生産性の高い環境保全型技術・生産システムの開発を行います。究極的には社会・経済・環境の要請に応えられる新しい形の有機農業を開発し、促進します。』

  2. 科学技術の発達により、農業分野で新たに多くの技術が開発・普 及されている。その中でも、注目すべき技術は、遺伝子組換え作物(GMO)などを含むバイオテクノロジーである。また、消費者も遺伝子組換え作物・食品に対して強い関心を持っている。『私達は、遺伝子組換え作物(GMO)などを含むバイオテクノロジーを、正しい知識で評価し、その可能性を認識します。同時に、健康や環境に対する安全性については農学に携わる者としてさらに研究・調査していくと共に、その結果を消費者に伝えていく役割を担っています。』

  3. 地域には、歴史の積み重ねから生まれた食文化があり、人がいる。本来、食に関しては、生産から消費まで一貫して安全性が問われなければならない。よって、『私たちは、安全な食料を供給し、安心して食べ続けることが出来るシステムを創ります。政府による社会インフラストラクチャーの整備に基づいて、生産現場での農薬残留、食料の加工・流通過程におけるポストハーベストや食品添加物使用の問題など、各分野における安全性配慮の必要性を認識し、当事者間の協力体制を確立していきます。さらに、私達は消費者として健康的な地域の食文化を見直し、安全な食料生産と環境保全にかかるコストが生産物価格に反映されることを理解し、協力します。』

  4. 現在、WTO体制の下で貿易自由化が進んでいるが、国・地域間の経済格差や社会インフラストラクチャーの格差などの要因によって、全ての国々・地域に公平な食料分配が行われていない。したがって、『私達は、ローカルな視点からと地域のエコシステムや個性を活かした、主食に関する地域内自給を推し進めます。そして、各地域の食料自給率を高め、グローバルな視点でアジア全体の食料自給の達成に向けて努力します。』

  5. 将来にわたり私達、学生が果たす役割は大きい。国境や学問領域の壁を越えた知識の共有と人的交流のために、更なる国際協力を進めます。『私達は、第一歩として今回参加した13カ国・地域の学生を中心に学生ネットワークの創設を目指します。また、それぞれの地域環境に適合した食料生産と、そこから生まれる安全な食料を流通・加工し、消費できる社会を、農工商間での連携の下で目指すという、新しい価値観を共有します。』

私達は、世界学生サミットでの「東京宣言」を実現するため、宣言策定後それぞれの地域で、「世界学生サミット行動計画」を作成し、実施していくことを誓います。

2001年11月20日 東京

東京農業大学

世界学生サミット

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