東京農業大学

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国際交流・留学

インド ハリヤナ農業大学(短期実学研修)

八尾 成美さん

応用生物科学部・食品安全健康学科・2年(2019年時点)

近隣の村訪問の様子

2019年夏、Chaudhary Charan Singh Hariyana Agricultural University(HAU)への短期留学プログラムに参加しました。私は、発展途上中のインドの現状を農業・食糧に注目して学ぶ、食品関連分野の日系企業のインド進出の現状を学ぶことを目標に掲げました。

 HAUでは、様々な学部で行われている研究についてのレクチャーや、学生が管理する実験農場、農家の方とともに行う試験農場などを見学させていただきました。教育・研究・普及を掲げ、インド農業の発展に尽力する教授、学生の様子を見て、インドにおける農業の重要性、農業が持つポテンシャルなどを学ぶことが出来ました。そして、HAUの学生と近くのマーケットを訪れたり、学内で販売されているトウジンビエのクッキーを作ったりと、交流を深めることでインドの学生の暮らしを深く知ることが出来ました。

 日系企業訪問では、デリーにあるヤクルトを訪問し、インド市場について詳しく学びました。日本の食品関連企業のインド進出は、他のアジア諸国への進出に比べ遅れをとっています。その原因として、インドの食文化は他の国と比べても特異的であること、食に対して保守的であること、流通が未発達であること、などが挙げられます。一方、人口が多く市場ポテンシャルが大きい、国の発展とともに都市部では急速に生活が変化し中間層(年収20万-100万ルピー)の人口が拡大、一次産品が豊富、健康志向の高まりなど、企業にとって魅力的な条件も多くあります。そして、インドはアジアに属していますが、地理的にアフリカに近いことから、これからアフリカへ市場を拡大することを見越して、重要な存在となることを期待されています。

 ヤクルトは、2005年にグループダノンと共同でインドへ進出し、健康志向が高まるインドでのプロバイオティクス市場の拡大を目標に設立され、インド国内の自社工場で製造から輸送まで全てを行っています。DahiやGheeなど独自の乳製品の文化が根付くインドで、ヤクルトを普及させることは簡単なことではありませんが、中間層の健康に対する意識の変化や食生活の変化によって少しずつインドの生活に浸透していっているそうです。

最後に、インドでの2週間は毎日刺激的でした。キャンパスの外では、マイペースに生活する野良牛や野良犬、車線を全く守らないインド風交通ルール、問題があってもノープロブレムなインド人。日本ではありえないことが普通にあり得るインドは、とても魅力的な国だと思いました。国家レベルでインドと日本を見ると、首相間の関係や、JICAにとっても最大の協力相手国であることから、外交上良好な関係を築けていると言うことができます。インドの国民食カレーも、日本風にアレンジされすっかり根付いています。一方で、インドは、お腹を壊す、食に対する制約が厳しい、カースト制度が根強く残っている、男尊女卑、などのイメージから心理的に遠い国になってしまっているように感じました。しかし、インドは、これから国際社会が無視することが出来ない程、大国へと発展していくに違いありません。今のインドを訪れ、インドのポテンシャルとこれから急速に発展していく状況にあるインドの人々と交流したことは、重要な経験だったと強く感じました。広大な国土を有するインドで暮らす、多様性に富んだ人々、文化をまとめることは不可能に近いですが、この多様な人々が共生して成り立っていることこそがインドの魅力であり、発展の可能性を秘めているのだと実感出来たプログラムでした。

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