東京農業大学

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キャンパスライフ

令和2年度学位記授与 学長・理事長挨拶

学位授与式 学長告辞

東京農業大学学長 髙野 克己

 学位記を授与された卒業生のみなさん、ご卒業おめでとうございます。コロナ禍の困難を克服し、この日を迎えたみなさんに、心よりお祝い申し上げます。
 ご家族のみなさまにも、この日を迎えられたことを、お慶び申し上げると同時に、コロナ禍の混乱の中、お子様の学びを支えてこられたことに、深く感謝申し上げます。

 残念なことに、今年も卒業を寿(ことほ)ぐ言葉を、みなさんに直接伝えることができません。
 収束の兆しが見えないコロナ禍のため、昨年度に続き、学位授与式の開催を断念せざるを得ませんでした。2年連続の中止は、130年を迎えた東京農大の長い歴史の中でもおそらく初めてのことです。慙愧(ざんき)にたえません。

 コロナに振り回された1年でした。
 授業開始は5月からとなり、前学期は全て遠隔授業でした。後学期から実験・実習を中心に対面授業を再開しましたが、キャンパスへの入構規制が続きました。博士、修士そして卒業論文作成を進めていたみなさんには、大きな負担を強いることになりました。また、クラブ、サークル活動など課外活動の制限も続いています。友人との食事や旅行も我慢せざるを得なかったでしょう。こうした形で最終学年を終えることになったことに満足できない人は、少なくないだろうと思います。

 どうか、その「満足できない気持ち」を大切にしてほしいと思うのです。

 この1年間にさまざまなことが起きました。それは、本学だけでなく、日本の、世界の大学が初めて経験する未曽有の事態でした。「大学の学びとは何か」。学生のみなさんだけでなく、私たち教職員にも、この本質的な問いが投げかけられました。
 指導教員と対面で実験し、議論する少人数による対面授業こそが、本来の大学教育のあり方です。
 しかし、キャンパスに入構できない間も、みなさんは学びを続けることができました。インターネット利用のサポートはありましたが、それ以前に、みなさんに学びたいという強い気持ちがあったからです。言うまでもなく、大学の学びは主体的な学びです。学びたいという強い気持ちがさまざまな困難を克服することにつながりました。

 大学を巣立ったみなさんが入っていく社会は、コロナ禍による混乱の最中(さなか)にあります。
 コロナ禍の中にいる私たちは、文明の転換点に立っています。グローバル化社会の限界点が明らかになりました。社会が本当に必要なものは何か、私たちが大切にしなければならないことは何なのか、一人一人が問いかけてられています。

 それは何なのか? 答えはどこにあるのか?
 私たちは探り続けていかなければなりません。

 みなさんが学んできた農・生命科学は、人類の進歩を支えてきた、「生きる」を支える学びです。
 コロナ禍は世界と日本に迫っている食料危機の問題をクローズアップさせました。食べることの意義も問い直されました。そうしたさまざまな問題の解決にも、みなさんの「生きる」を支える学びの知恵が必ず役立つはずです。
 東京農大で学んだことに自信と誇りを持って、歩んで行ってほしいと思います。

 そして、困難に直面した時、今みなさんが感じているだろう「満足できない気持ち」を思い出してください。
 「満足できない気持ち」は忘れ物のようなものです。
 忘れ物を取り戻してください。
 どこにあっても、「生きる」を支える学びは継続できます。

 とことん話すことができなかった友だち、一緒に旅することができなかった友だち。
 丁寧に指導してくれた先生、相談に乗ってくれた職員など。
 そんな人間関係を大切に継続してください。
 連絡を絶やさないでください。
 ふれあいを取り戻しましょう。

 収穫祭の時などに、キャンパスを訪ねてください。
 研究室は温かく迎えてくれるでしょう。
 数ある大学の中で、卒業生がいつでも帰ってこれる大学、卒業生との距離が近い大学、それが東京農大です。卒業すると母校東京農大のブランドを強く感じるはずです。

 そして、みなさんの周りには必ず農大卒業生がいることも忘れないでください。組織の中に、業界の中に、地域の中に。着実に歩みを進めている先輩がいるはずです。迷った時、苦しい時には、そんな先輩の後ろ姿から学び、勇気をもらってください。

 日本のみならず世界が直面する今回のような試練を、みなさんは、これから何度か経験するはずです。感染症に限らず、私たちの住む地球は、気候変動に伴う環境変化や自然災害の増加、人口爆発と食料危機など、あらゆる課題に直面しているからです。
 その時、学位授与式が無かった無念と東京農大での学びを思い起こし、果敢に立ち向かって下さい。地球上の人類を含む全ての生物の「生きる」を支えることは東京農大卒業生に課せられた使命です。
 どうかこれからも、生命(いのち)の尊さを大切にする「農のこころ」を持ち、「生きる」を支える人であり続けてください。

 くれぐれも健康には留意され、活躍されることを願っております。
 万感の思いを込めて、今日の日を祝い、告辞といたします。

卒業生の皆さんへ 祝辞

学校法人東京農業大学 理事長 大澤貫寿

 本日ここに令和二年度東京農業大学大学院修了式ならびに東京農業大学学位記授与式が挙行されるにあたり、学校法人を代表して卒業生の皆さんに心からお祝いを申し上げます。
 卒業生そして大学院修了生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。これまで物心の両面において多大な支援を続けてこられたご家族の皆様にとって、喜びもひとしおかと存じます。心から敬意を表しご卒業をお祝い申し上げます。
 昨年から今年にかけて世界中で新型コロナウイルス感染症が大流行し、社会に大きな混乱をもたらしています。本学も大きな影響をうけ、学生生活が一変してしまいました。授業はこれまでの対面式からオンライン方式にシフトし、さらに課外活動など学ぶ環境が制限され、皆さんにとっては本来の学生としての活動が出来ず、困難な一年となりました。今日卒業される皆さんは、これまで誰も経験したことのない困難な状況を乗り切り、卒業されます。皆さんの努力に心から拍手を送ります。
 さて、皆さんがこれから進んでいく社会は、自ら選択した道であり、その働く環境や研鑽を積む場所も仕事も様々であると思います。特に今のコロナ禍のなか、社会活動が制限されているなかでの船出となります。期待と大きな不安のなか本学で学んだ自彊不息の精神で挫けることなく、進んで道を切り開いてください。
 皆さんは、講義を聞き実験や研究に励み、本学の教育理念「横井実学」の一端に触れられたことでしょう。皆さんにとって大いに役に立ち実社会に於いて活用されることを望みます。皆さんが「知良致」のもと 物事の本質を見極め、社会を牽引する人となるよう期待します。また、在学中に学んだことは教室や実験室で得た知識だけではないでしょう。 多くの先生方や仲間と触れ合い、人としての在り方、生き方について、こうあるべきだと思う考え方の起点を得たならば、それは教室や実験室で得た学知識の全てよりも、貴重な生きる力となることでしょう。
 ここで留学生の皆さんに一言申し上げます。言語や習慣の異なる日本で様々な困難を乗り越え学位を習得されました。心から祝意を申し上げます。皆さんが母国に戻られても、世界のどこにいても東京農業大学で学んだことを忘れず、広く社会に貢献されることを願っています。
 ここに、皆さんに伝えておきたいこととして、何れの時、何れの場所にあっても自ら学ぶ事を継続することです。大学で学んだ知識と経験、今は最先端で高度なものであったとはいえ、日々学問は進歩し、社会は変化し続けています。これからも学ぶ事を中断せず、生涯を通して新しい知識の吸収を怠らないよう励んでください。
 本学創立者の榎本武揚先生の書にある「学びて後、足らざるを知る」は、勉強するということは、これでもう良いと言うことは無いと言うことです。この武揚精神を心に大いに学び続け、二十一世紀の時代的要請を十分踏まえて活躍してください。きっと素晴らしい発見や出会い、そして生き甲斐が見つかるはずです。
 結びに、くれぐれも健康には十分留意し活躍されますことを願い、重ねて、今日の日を心からお祝いし、祝辞といたします。

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