東京農業大学

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食を通じてより良い社会を実現する「食のディレクター」を育成

Agroad『すももの加工・販売プロジェクト』

2019年10月28日

学生団体Agroadによるすももの加工・販売の取組み

(食料環境経済学科 学生×社会 共創プロジェクト『Bridge』採択事業)

1.Agroadとは

私たちAgroadは廃棄されてしまうおいしい完熟すももを消費者のもとに届け、農家さんの新たな収入源にしたい!この信念と「食と農のスペシャリストになること」という活動目的をもって、収穫、加工、販売を一貫して関わり、廃棄されてしまう完熟すももを使いすもものフルーツソースの製造販売を行っている学生団体です。食料環境経済学科が2019年からスタートさせた『Bridge』(学生が社会と共に新しい価値を創造しようとするプロジェクト)に採択され、学科からの支援も頂くことになりました。

2.Agroadができた経緯

私達、Agroadの活動の原点は、山梨県甲府市中道地区(現在の活動拠点)にある本学科のOBの菅沼祐介さん(以下、菅沼さん)の農家に、農業体験実習に訪れたことです。
菅沼さんはすもも、とうもろこし、ナスを主に生産しておりますが、農業体験では、すももの作業に携わることが多かったことから、すもも収穫の現状や完熟したすももを落としてしまう理由などを知るきっかけになりました。
これについて、菅沼さんをはじめ、中道地区の農家さんにお話を聞いたところ、すももの収穫作業に対する人手不足、農家の高齢化等の影響で適期に収穫しきれない現状や、本来であれば、甘くて美味しい完熟したすももを消費者の皆さんに食べてもらいたい、といった意見を頂きました。
こうした、実際の現場に訪れ、農作業をして理解した現状、問題点を、学生の力を使ってどうにかできないか、と考えたことが、Agroadを結成した発端です。

3.活動内容

(1)栽培
まず、私たちは実際の現場で経験し、学ぶことですもものことについてより深く知ろうと思いました。すももの実がなり始める5月中旬から「摘果」という作業が始まります。これは一つの枝に付く実の数を減らし、1つの実に栄養分がより多くいきわたるようにする、いわゆる「間引き」の作業です。また、摘果した後、「袋かけ」という作業があり、摘果して残した実に、雨風や病害虫を防ぐため実一つ一つに袋をかけます。

(2)収穫
すももの収穫の時期は6月の下旬から7月の下旬の約1か月間に及びます。早生品種の「大石早生」は早ければ6月中旬から収穫期になり、「菅野中生」「ソルダム」「サマーエンジェル」といった品種が続きます。それぞれ品種の収穫期が近いため、適期に収穫を終えないといけないことや、日を追うごとに実の成熟度が変わることから、収穫しきれず熟しきってしまう実も多いです。
すももの実は繊細で、すももの周りにはブルームというものがついています。ブルームはすももの価値を示す重要な尺度であり、このブルームがはがれてしまうと見た目がよくないため出荷できません。そのため私たちは、菅沼さんの教えの下、できるだけブルームが取れないように収穫するなど、とても神経を使う作業を教えて頂きました。また、この収穫したすももはその日中にパック詰めして次の日の朝までに出荷しなければならず、そこでも人手不足という現状に直面したため、解決しなければならない課題だと感じました。

(3)加工
7月15~19日にかけてAgroadのメンバー総勢12人で山梨へ行き、すももソースの加工を行いました。6月に収穫した完熟すももは冷凍保存し、最初の3日間は足りないすももの収穫、後の2日で加工と瓶詰を行いました。
加工の内容として、すももの皮をむき、種抜き、細かくするためにフードプロセッサーで細かくする作業があり、中でも種抜きの作業は、種が少しでも混入してしまうと異物混入に繋がりかねないので細心の注意を払い、種抜きを行いました。
すももソースを作成した背景には、前述した生鮮としてのすももの魅力を表現しやすいこと、長期保存ができることに加え、ソース状にすることで、塩味のある料理に使ったり、何かにかけたりと、幅広い用途で使えるようにしたことがあります。すももは山梨県が生産量全国第1位にもかかわらず、桃やブドウよりも認知度が低く、消費量も多くありません。こうした商品を多くの人が手に取っていただくことによって、山梨県のすももの魅力、また、農家さん・菅沼さんの魅力を発信していけると考えております。そうした面でも、青果普段野菜や果物をなかなか食べない人にも使い易く、手に取っていただけるように考えた結果、今年度は「すももソース」という形になりました。より生鮮のすももに近付けるために、保存料、着色料を一切使用せず、酸味と甘みのバランス、風味をそのまま生かし、また、ソルダムという品種の特長である果肉の赤身を表現するなど、こだわりが詰まっています。

(4)販売
私たちはマルシェや民間の企業さんの協力ですももソースの販売を行ってきました。最初の販売は連日で丸の内の行幸マルシェ、世田谷代田のサテライトキャンパスでした。初めてのすももソースの販売だったため、お客様が何を求めてソースのことをどう訴求していけばいいか掴めず、あまりすももソースは売れず、課題が残る結果となってしまいました。
次に団体のメンバーの一人がインターンとして働く株式会社キュービックで特別にすももソースの販売をしました。前回のマルシェでの反省を生かし、すももソースを作ろうと思ったきっかけ、ソースのこだわりなど、ストーリー性を丁寧に告知しました。メンバーが所属するココファーマチームが社内告知などに協力してくれたこともあり、販売のため持っていったすももソース50個はすべて完売することができました。

4.最後に
次のすももソースの販売は収穫祭になります。すももソースのことや、廃棄されてしまうすももの現状を多くの人に知ってもらうことのできる絶好の機会です。これまでマルシェでの販売、特に社内販売では、自分たちの活動、ストーリーに関して、多くの人に興味を持っていただけるとわかりました。そのため、そこを重視しこのすももソースを売ることで、完熟すももの魅力や廃棄されてしまうすももの現状について多くの人に知ってもらえると思います。
皆様、自分達は、礼儀・マナー、感謝、還元を常に念頭に置き日々活動をしております!収穫祭でAgroadのブースへ是非お立ち寄りください。

文:食料環境経済学科 2年 正木佑磨

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