東京農業大学

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食を通じてより良い社会を実現する「食のディレクター」を育成

人のつながりに感謝し「食」の学び深め続ける

新堀 洋紀さん

大学院 修士課程2年 フードシステム研究室

「食」の地域ブランドについて深く学びたいと大学院に進学した新堀さん。「いつかは教師に」という思いも胸に秘め、コロナ禍にめげず研究活動を続けている。その前向きな視線の先に何を見ているのか話を聞いた。

十年後の未来にも決して無くならない仕事の分野は「食」だ、と新堀さんは考える。東京農大に入学した理由の一つだ。「『食』という分野の中でも特に商品開発について興味を持っていました。東京農大に入学し、学部時代には商品開発・企画にも携わることができ、大学で学んだ経済学を仲間と共に実際の活動へと昇華することができました」

もう一つの大きな理由、それは教員免許取得だ。「教育大学の附属小中学校に通っていたこともあり、教育への関心を抱いていました。そしてそれは、キャリアの選択対象でもありました。高校生の時には社会学にも関心があって、社会系の教員免許取得が可能な(東京農大の)食料環境経済学科は、自分に適した学びの場であると考えました」

学部1年生のときから国際農業・貿易研究室(現・フードシステム研究室)に所属し、TPPなどによる貿易自由化等で日本の農家がどのような影響を受けるか研究した。卒論のテーマは「ゆず」にした。

「農産物輸入の増加の影響や労働力不足の問題といった様々な問題を踏まえて、日本の農家がどのように農産物の産地維持を図っているのかに着目しました。徳島県那賀町で生産されている『木頭ゆず』を事例として取り上げ、そのブランド化と知的財産保護に関する研究を行いました」

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〝実学主義〞を重視し「木頭ゆず」生産現場を現地調査=徳島県那賀町で撮影

そして大学院へ。学部時代に学んだことを基盤に、商品開発・企画等の経験を通した「食」の地域ブランドについてのより深い理解へと研究を進めていく。そこにコロナ禍がくる――フィールドワークをすることは社会の情勢上困難となり、大学院の授業も前期は主にリモートによる授業に。しかし、指導してくれる先生方とのアクティブラーニングによて、学びを深め続けることができたと話す。

「自分自身の研究に関しても、特に私の指導教授である高柳長直先生が親身になって相談にのってくださりコロナ禍でも研究を進めることができました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです」

とはいえ、やはりつらいこともあった。大学図書館に気軽に入ることができなかったり、先生方や友人、後輩に大学で会えなかったのがこたえたという。「いま一人暮らしをしているので、人と直接に会うことができないのは、研究面だけではなく生活面全体にとってストレスでした。コロナ禍になって、人と会って話しをできることが当たり前ではなくなった生活を経験し、人とのつながりの大切さ、親友への感謝を改めて実感しました」

やがて登校が可能な状況になり、普通に大学に行き、普通に授業を受け、普通に研究活動できるようになったときは本当にうれしかった、と新堀さん。

修士卒業後の目標の一つは、学術誌に投稿して掲載されるような論文を書くことだ。コロナ禍で進路に不透明さを感じつつも、焦らずに前を見据える。教師への思いがそこにはある。

「経験を生かし、生徒のキャリアデザインを少しでも手助けできるような教師に、いつかなれればとも思います。ただ、人生は何があるかわからないので、まずは幸せな生活を送れるようにしたいです」

大学院は、学部で学んだことをより深めていき、その知識を自分の研究へと昇華できる場所だと、新堀さんは言う。

「すでに就職している私の友人の中には、もっと勉強したかったと後悔している人もいます。研究に興味がある人はもちろん、学問への未練がちょっとでもある人にとって、大学院進学は一つの道なのかもしれません」

最後に学部生の皆さんへのメッセージを語ってもらった。

「企業などに就職する際、『この会社で何をしたいか』と問われるのは大学院でも同じです。何がしたいか、何を研究して明らかにしていきたいか、が問われます。また、その答えは人によって異なるため、研究を進めていくなかで『目標を達成するために、今は何をしなければならないか』と一人で考え込んでしまうこともあります。

だからこそ、大学院への進学を前にした時は、そこで何をしたいか、その軸をしっかりと定める必要があると思います。大学院生活は長いようで短いとも感じるので、皆さんも後悔のない選択をとお伝えしたいです」

 

『ニュース東京農大』第90号(2020年12月20日)掲載記事

 

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