東京農業大学

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教員コラム

カラフルポテト用いた農大福

2014年2月14日

生物産業学部食品香粧学科 教授 永島 俊夫

オホーツク新食品誕生記(22)

地域資源の高付加価値化(2) フードマイスター育成 プログラムより生まれた製品

東京農業大学生物産業学部では平成22年度から、文部科学省の「大学教育・学生支援推進事業」大学教育推進プログラム【テーマA】に採択された「地域資源利用によるフードマイスター育成」を学部共通の授業として実施してきました。現在は文科省からの支援期間が終わり、学部独自の科目として継続しています。
この内容は学科の枠を越え、生産から加工、流通、経営など、食にかかわる幅広い知識を身につけ、食品関連業界のいろいろな部署に対応できる、即戦力となり得る人材育成を目的としています。学生は講義や実習を通して、この地域には高品質な生産物が豊富なことや、その半面、規格外となり未利用な食材もたくさんあることなどを学び、それぞれのグループで地域食材を利用した製品開発に取り組みます。1年間学んだ成果は広く学内外に紹介するため、グループごとに開発した製品について報告する成果発表会と試食会を実施します。
プログラム終了後も製品化に向けてさらに改良を行うグループも多く、地域のイベントなどに参加して試食していただきながら品質のレベルアップをしていきます。中でも「農大福」は最近北海道で栽培され、用途開発が求められている有色馬鈴薯(カラフルポテト)を用いたもので、その色調や機能性などの特徴を生かした製品を目指し、「シャドークイーン」(紫色)、「ノーザンルビー」(淡赤色)、「インカのめざめ」(黄色)を餡として、これを求肥で包み、色の異なる3種類の大福のようなお菓子に仕上げたものです。試食会や試験販売でも大変評価が高く、製品化に向けた企業を探していたところ、美幌町にある株式会社ウエニシで製造してくれることになりました。製品開発まではできても商品として販売するには製造業者を探して技術移転を行い、工場規模での製造方法の確立、パッケージデザイン、表示、流通方法や経費、製品価格など、いろいろな問題を解決していかなくてはなりません。これに取り組んだ学生は企画開発して、それが実際に販売されるまでのすべての過程を体験して学ぶことができ、きわめて高い教育効果がありました。
また、学生が開発した製品について表彰する「キャンパスベンチャーグランプリ北海道」に本プログラムを受講した学生が毎年応募しており、平成23年度は、おやきをオホーツクの素材で作った「おじゃき」が努力賞、24年度は野菜の色を生かしたカラフル餃子「オホ餃」が奨励賞を獲得しました。そして25年度はこの「農大福」が1次審査を通過し、昨年度同様奨励賞の受賞が決まりました。
このフードマイスター育成プログラムは次年度より一般の社会人にも枠を広げ、食品関連の広い知識を身につける資格とすることにしています。従って将来は学生の教育はもちろん、食品関連業界でも役に立つ学部のプログラムとして、社会に認知される価値あるものにすることを目指しています。


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