東京農業大学

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国際交流・留学

タイ カセサート大学(短期実学研修)

田中 万結さん

応用生物学部・醸造科学科・3年(2019年時点)

国家プロジェクトの再生マングローブ林

渡航すると、気候がその国の産業、文化、歴史に大きく影響していることを感じます。そこで、私は、日本と違う気候であるタイに行くことで、タイならではの発想を活かしたものについて学び、インスピレーションを得ることを目的としました。

スワンファームでは、肥沃ではない赤土でも育てられるトウモロコシについて大々的に研究しており、タイの農業、タイでのトウモロコシ栽培について学べました。より良い種を作る、そのまま売ることのできないものも加工して製品を増やす、隅々まで活かすなど、経済的な利益につながっている研究もされていました。置かれている環境で何を育てるべきか、タイに良い影響を与えるにはどうすれば良いのかを考えながら研究、生産されていることがよく分かります。日本でも、作物の食べにくい部分や捨てられてしまっている部分を加工し美味しく仕上げることで食物を無駄にせず食すことができるのではないでしょうか。

Pakchong Research Stationを訪れた際には、シュガーアップルなどの接ぎ木後の保湿、温度管理をプラスチックの袋で包むことで行うなどタイの貧しい農家のために試行錯誤された研究がみられました。より良い技術を無理に使うのではなく、そこで働く農家の方や他の農家の方にも役立つやり方で研究しているということは、農家の利益に繋がり崩壊を防ぐと思います。少し違いますが、日本では農家の高齢化と後継者不足が問題となっていると思うので、高齢でも楽に作業できる方法や若い女性の人材を得るための方法などを模索するのも良いと考えました。

海ぶどう農園では、海ぶどうを食用だけではなく、化粧品にも活用していました。ミネラル含量が高く、ヒアルロン酸やフコイダンも含まれているという特性を活用して化粧品を作るという発想の転換に海ぶどう生産の可能性を感じました。このことから、農大のシンボルである大根を大根の特性を活かして食用以外の用途に用いること、実際に化粧品に利用されている発酵食品や地域の特産物の特性を活かして商品化することで日本や地域の活性化を促せると思いました。

また、The Laem Phak Bia Royal Projectを行っているところを訪れました。微生物や植物の力で汚染水を浄化するシステムの開発をしており、そこでは、再生マングローブも見られました。つまり、自然の中で浄化システムを作り上げることで環境に負担をかけずに保全を行なうだけではなく、タイの気候ならではの生態系を利用していると言えるでしょう。人間は、地球環境を破壊し続けています。生物はみな繋がっており、1つの環境が異なってくるだけで連鎖的にその関係性が崩れるのです。よって、排水を控えること、浄化することで環境を守っていかなければならないという意思を全世界の人々が持たなければいけないと思います。そして、生態系を守り、その地と密着するような自然的な浄化システムを考える、浄化に役立つ生態系、生物を探し出すべきであると思いました。

これらのことから、タイで行われている研究は、タイや農家のことを考えた上でのものが多いと考えられます。自国の文化や環境、経済、働き手に寄り添いながら生産、研究を行うことで、経済発展に結び付けられると思います。また、タイの環境保全に対する考えや方法が分かった今、私自身も自然の力を信じた環境保全システムを作り上げたいという思いが湧いてきました。地球に優しく、より多くの環境問題の解決につながる方法を見つけだせるよう、微生物を用いるなど学んだことをヒントに研究していきたいと思います。さらに、仲良くなった人たちとは、SNSを通じて交流を続けており、両国の発展に結び付くような話もできる友好関係を持ち続けたいです。そして、このプログラムで学んだ数多くのこと、作り上げることのできた友好関係を活かし共有しあいながら、地球にまで役立てていきたいです。

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