東京農業大学

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教員コラム

学生こそ地域活性化の切札。 求む!フレッシュな頭脳と感性。

2016年2月18日

生物産業学部 地域産業経営学科 産業連携戦略研究室 上田 智久 助教

産官学連携の「学」は〝学生の学″というのが私の持論です。長年の研究の積み重ねで鍛え上げた教員の頭脳はもちろん必要ですが、こと地域活性においては、無垢だからこその斬新な発想が不可欠。学生のフレキシブルな頭脳で大胆なアイデアを生みだすこと、それが私の任務だと考えています。

それはふとした疑問からはじまった

ある学生がこんなアイデアを持って研究室を訪ねてきました。観光案内を作りたいというのです。空港や道の駅などに置いてある観光客をターゲットにしたパンフレットです。そんなもの「すでにあるじゃないか」と思いましたが、聞けば、学生の考えは少し違いました。地元の人しか知らない穴場情報、そこに住んでいるからこそ分かるピンポイントの情報を満載したパンフ(農大生も含め)。「そんなパンフ、先生見たことありますか? 欲しいと思いませんか?」。こう切り返されてしまいました。
博物館網走監獄、流氷砕氷船おーろら、能取湖に能取岬、天都山展望台…網走市にはたくさんの観光スポットやアクティビティがあり、それぞれを紹介したパンフも作られています。けれど、リピート率はどうなのでしょう。手にしたパンフはどうされているのでしょう。もう一度訪ねてみたいと思わせたり、友だちに紹介しようと持ち帰ったりされているでしょうか。

情報は実現に向けた説得材料

その学生はこう考えました。たとえば「○月の天都山展望台は○時が最高。海に沈む夕日をバックに写真が撮れる」とか、「網走湖のワカサギは○時~○時が良く釣れる」などといった情報が満載されたパンフなら、持ち帰って、また来る時の参考にしようと思うのではないかと……そんなパンフなら、私も欲しいと思います。

そこでまず学生には、アンケート調査用紙を作成するよう指示しました。現在は地元の方々だけでなく、農大生600名ほどにも協力いただき、ようやくアンケート調査を終えたところです。まだ全ての集計はできていませんが、データの中には我々も知らないようなスポットが数多くあり、とても興味深いものがあります。
アンケートの調査結果をもとに産や官を巻き込むことができれば、新たな地域活性化の道が開けてくるかもしれません。産業の創設だけが地域活性化ではないということです。常識に凝り固まった大人には見えないものを見つけるために、若いみなさんの力が必要です。

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2013年9月18日に行った、茨城大学との共同研究報告会の様子(会場は北海学園大学)。

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