東京農業大学

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進化する東京農大

平成30年度 卒業式告辞

本日、この世田谷キャンパスにおいて学位記を授与された1953人の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
またそのご家族の皆様に対しましても、心よりお祝い申し上げます。

本日は皆さんの晴れの姿を祝うため、学校法人東京農業大学から大澤貫寿理事長、かつて明治29年から30年間にわたって本学の経営を支えた公益社団法人大日本農会から吉田岳志会長、本年度の皆さまを加えた17万6千余名の本学卒業生を代表して校友会三好吉清会長(代理として小泉幸道副会長)、本学に対し多大なるご支援をいただいている教育後援会小林正樹会長をはじめとする多数の方にご登壇いただいております。
関係の皆さまにも改めて御礼申し上げます。

さて本日学位記を渡した皆さんは、入学当初、期待に胸をふくらませて、それぞれの夢の実現に向かうため、東京農大の門をくぐりました。多くの皆さんが4月からは社会人としての新生活を始めますが、就職や進学したことは夢の到達点ではありません。これから、夢の実現へ向けた「第一歩」を歩み始めることになるのです。

明治農学の第一人者である初代学長の横井時敬先生は、「稲のことは稲にきけ、農業のことは農民にきけ」という言葉を残しました。机上の論理ではなく、現場で自らの五感性を駆使して、課題を発見し、その課題がなぜ起きているのかを自ら考え、科学的に実証せよということです。

本日ここにいる卒業生の皆さんは「実学主義」のもと、机上の勉強だけではなく、研究室はもちろんのこと、実験室・実習室・演習室、またはフィールド・農家等の現場に出向き、何度も試行錯誤を繰り返しながら、それぞれの課題解決の道を探りました。そしてその集大成としての博士論文・修士論文・卒業論文を完成させ、学位記を授与されました。この実績は、東京農大に在学したからこそ生まれたもので、本学教育研究の理念「実学主義」と、生命(いのち)の尊さを大切にする「農のこころ」を育むことによってできたことです。

日本の時代元号は、明治・大正・昭和・平成と歩みを続け、SNSの普及やAI等の日進月歩の技術文化の発展は、世界中において加速しています。コミュニケーションの方法は多様化しても、どの時代・どの場所においても東京農大の精神は普遍的であり、皆さんも先人たちと同じくこの東京農大で培った魂を持っています。自身の歩みに誇りを持ち、新たな世界へと羽ばたいてください。

しかし、卒業後の人生が順風満帆に行くとは限りません。誰しもが、思いもよらぬ困難が立ちはだかることがあります。学生時代に「実学主義」のもと、課題解決をした経験を思い出し、先入観にとらわれたり、観念論に陥ったりせず、これからもまずは実際に動いてみてください。皆さんに身に付いた東京農大精神により、必ず解決の活路を見出すことができます。

また皆さんは決して一人ではありません。課外活動などで、楽しかったこと、嬉しかったこと、苦しかったこと、悩んだことなどを、共にわかちあった農友会や同好会の仲間、収穫祭の成功に努力した仲間、海外交流の仲間たちがいます。お世話になった先生や職員の方、地域の方々も含めた東京農大ファミリーが、皆さんを応援してくれます。東京農大ファミリーは皆さん自身が築いたものです。人に頼ることは何も恥じることではありません。人に頼む方法を身につければ、人生を切り抜けられていくものです。

4月からの社会の中で、立ち止まることもままならず日々を過ごすことになりますが、決しておごることや過信することなく、常に自ら学ぶことを継続することが大切です。本学の創設者である榎本武揚公は、「学びて後 足らざるを知る」という書を残しています。学ぶことによって初めて学力や知識の不十分さが分かってくる、学びに終わりは無く、人生全てが学びの場であると解釈されます。

また人生において、時に立ち止まることや、まだ見ぬ新しい世界へ飛び込むことは、小さからずの不安を感じることもあるでしょう。時には風に身を任せることも必要かもしれません。しかし、探求心と勇気を絶やすことなく、その先の夢に向かって突き進んでください。

本日卒業される皆さんは、ここ東京農業大学でしか学べない、価値ある教育を「実学主義」のもと学び、東京農業大学だからできた実績をもって卒業します。これこそまさに東京農大ブランドです。皆さんが社会で躍動することにより、全国・世界のあらゆる分野で東京農大ブランドを知らしめてください。

私たちの住む地球は、気候変動に伴う環境変化や自然災害の増加、食料危機などのあらゆる課題に直面しています。これらすべては「農学」の研究領域であり、地球上の人類を含む生物の「生きる」を支えることは東京農大生に課せられた使命です。これから皆さんの進む道が千差万別でも、どうかこれからも、「農のこころ」を持ち、「生きる」を支える人であり続けてください。

皆さんのこれからの活躍の姿を後輩や教職員たちに見せに、必ずや母校に帰って来てください。再会するその時を、教職員一同で楽しみに待っています。

最後に、今年はあえてこの言葉で送りましょう、
「平成最後の・・・」東京農業大学卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。

くれぐれも健康には留意され、新たな時代で活躍されることを願い、重ねて、今日の日を心からお祝いし、告辞といたします。

平成31年3月20日

東京農業大学長   農学博士 髙野 克己

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