東京農業大学

メニュー

生命をつなぐ、「遺伝子」って何だろう。

バクテリアから動物細胞まで、細胞の増殖について研究しています

 バクテリアも我々ヒトも、細胞という基本単位で成り立っています。細胞が増えることは当たり前のように思えるかもしれません。しかしヒトの細胞はもちろん、単細胞のバクテリアですら、むやみに増えないように巧妙な増殖の制御メカニズムを備えています。私達は“生命の設計図:ゲノム” に基づいたそのメカニズムの解明、さらにゲノム改変(ゲノムデザイン)による新規な細胞機能の開発を目指しています。

ゲノム情報から未知の遺伝子の謎を解く

 細胞ゲノム生物学研究室では、納豆菌の仲間である枯草菌や、植物の葉緑体の起源といわれるシアノバクテリアなどの遺伝子機能や生体メカニズムを解明しています。これらは大腸菌と並んで世界中で研究が行われている微生物です。
枯草菌:黒い棒状のものが細胞、光っているのは枯草菌の胞子です。右下は成熟した胞子の電子顕微鏡による拡大写真です。
シアノバクテリア:光合成を行うためのクロロフィルを持っており緑色に見えます。地上に酸素をもたらした微生物であり、現在でも第一次生産者として地球環境を支えています。

哺乳動物の細胞周期:細胞分裂の「山手線」サイクル

 哺乳動物細胞の細胞周期は山手線に例えることができます。“東京”で細胞分裂が完了とすると、染色体DNAの複製は半周回って“新宿” から始まります。細胞周期は外回りのみの一方向に進んでいますが、常に回り続けている訳ではなく、 “渋谷”と“上野”のあたりに主要な停止信号があります。特に渋谷の停止信号は細胞増殖を決定づける重要なポイントで、制限点と呼ばれます。
 我々は、細胞増殖を決定づけたり細胞分裂を正しく完了させるメカニズムを解析して、動物細胞の増殖がどのようにコントロールされているのか、またがん細胞ではそのコントロールのどこに異常をきたしているのか、について研究しています。それらを解明することによって、がんの治療や予防に役立つことを目指しています。

極限環境に生息する細胞の能力を調べる

 微生物の中には他の生物種が生存できない「極限環境」でも生存できる種がいます。私たちは強酸性、高温(pH 2.0、50℃)の温泉に生息する藻類やアルカリ環境(pH 10.0)に生息する食用藍藻スピルリナを材料として、これらの藻類がどうしてこんなに強いのか、強さに関わる遺伝子を使って他の生物を強化できないか調べています。

ゲノムや細胞機能をデザインする 〜合成生物学〜

 実は枯草菌は組換え能力が特に高く、無限と言える程多くの遺伝子をゲノムに入れることができます。この特徴を活かして作られたのが通称「シアノバチルス1号」です。シアノバチルスは枯草菌のゲノムの中にシアノバクテリアのゲノム配列がクローニングされています。私達はゲノムを大規模に改変するためのツールとして、このような手法も用いています。

 さらに微生物の細胞機能を利用した有用物質生産システム「細胞工場」の構築にもトライしています。これまでにシアノバクテリアや藻類を用いて、色素や香料、希少植物ホルモンの生産に成功しました。

教員プロフィール

担当講義

達成した研究成果

主な研究設備

ページの先頭へ

受験生の方