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微生物が活躍するミクロの世界を先端科学で解明する

海洋生物の体色を彩る世界で2例目の青色タンパク質の発見と構造に関する論文が、Journal of Biological Chemistry誌の9月号に掲載されました。

2023年9月30日

研究の概要

 海洋生物の鮮やかな色の一部は、微生物から色素を獲得して形成されます。しかし色の多様性を生む分子機構の多くは解明されていません。
 資源生物工学研究室では、海洋生物の鮮やかな体色を生み出す分子メカニズムの研究を行っています。本論文では、原始的な動物であるスポンジ(海綿動物のブルースポンジ)から、オレンジ色のアスタキサンチンを青色に変色するタンパク質を発見し、タンパク質の構造と変色のメカニズムが明らかになりました。
 エビやカニなど甲殻類は、オレンジ色のアスタキサンチンを青色に変色するクラスタシアニンというタンパク質を体表に保持しています。エビやカニを料理の際にボイルすると、赤く変色するのはクラスタシアニンが変性することが原因です。今回発見した海綿動物の体色を彩るタンパク質(エペンダイミンファミリータンパク質)はクラスタシアニンとは異なり、オレンジ色のアスタキサンチンとミチロキサンチンを結合する、世界で2例目の青色タンパク質として同定されました。
 動物の祖先である原始的な海綿動物の体色を彩る青色タンパク質が同定されたことから、海洋生物の体色形成の分子メカニズムと進化を知る上で重要な知見となりました。

掲載誌:Journal of Biological Chemistry (米国生化学会誌、9月号)
タイトル:An ependymin-related blue carotenoprotein decorates marine blue sponge.
(ブルースポンジの青色の体色を彩るエペンダイミン様タンパク質)

著者:川﨑信治1, 金子隆之1, 淺野朋美1, 眞岡孝至2, 高市真一1, 庄村康人3
1: 東京農業大学分子微生物学専攻 2: 一般財団法人生産開発科学研究所
3: 茨城大学大学院量子線科学専攻

論文URL: https://doi.org/10.1016/j.jbc.2023.105110
PDF: https://www.jbc.org/action/showPdf?pii=S0021-9258%2823%2902138-5

 

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