東京農業大学

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生命をつなぐ、「遺伝子」って何だろう。

蛋白質の形から生き物の働きを知る

肉や魚の蛋白質に加え、植物由来の蛋白質が最近話題になっています。でも、「蛋白質って何?」チコちゃんならどう答えてくれるでしょうね。
蛋白質は20種類のアミノ酸が鎖のようにつながってできています。そして、どのアミノ酸をどのような順でつなげるのかは、生物の設計図である遺伝子が決めています。すなわち、遺伝子は蛋白質の設計図です。遺伝子の数だけ蛋白質の種類があります。
なぜ蛋白質を研究するのか。蛋白質が生物の形を作り、動かす元です。蛋白質を調べることは生物の仕組みを調べることになります。また、病原菌を殺したり、病気を治したり、薬は蛋白質に作用します。重要なことは、蛋白質には種類毎に特徴的で立体的な形があり、形で働き方が決まっていたり、薬の形が蛋白質の形の一部と一致します。そこで、「蛋白質の形(立体構造)」を調べることで、生物の仕組みや薬の働き方の解明を目指します。ただし、形を調べることは簡単ではありません。遺伝子を扱う実験に加え情報学が欠かせない技術です。

放線菌の代謝系から抗生物質の生産を操作する

私たちは主に土壌中に生息する放線菌と呼ばれるバクテリアを研究対象としています。この菌群の最大の特徴は、薬の基となる多くの種類の低分子化合物を作り出していることです。結核の特効薬であるストレプトマイシンをはじめとして、様々な薬が発見され、そして利用されています。皆さんは微生物がお互いに会話していることをご存じでしょうか?バクテリアはオートインデューサーと呼ばれる低分子化合物をやり取りし、環境中の自分たちの密度を知らせることで、遺伝子発現を調節してます。その結果、全細胞が同時に環境に適応することができるようになります。
私たちは薬を作る放線菌に、これまでに報告例のない新しいオートインデューサーを発見しました。私たちの発見した分子を利用することにより、有用物質の生産のコストの削減などにつながるかもしれません。
このように、私たちは、バクテリアのコミュニケーション能力を利用した物質生産の制御を目標として研究を行っています。

寄生生物から農作物を守る

自ら移動できない植物は病害虫や雑草、環境ストレスなど常にさまざまなストレスにさらされています。そのため、多彩な化学物質を生産、分泌することでストレスに対抗して生きています。しかし、植物寄生生物の多くは、これらの植物が生産する化学物質を逆に植物認識シグナルとして利用しています。つまり、植物は自身がストレスに対抗するために生産する物質が、寄生生物にとっては寄生したい植物の目印になってしまっているのです。
私たちはこの寄生生物から農作物を守るために、寄生生物が「どのように植物を認識しているのか?」を遺伝子レベル、物質レベルで明らかにしようとしています。現在は特に植物の根に寄生する根寄生線虫(右上の写真)や、根寄生雑草(右下の写真。近縁の根寄生雑草はアフリカの食料生産に大きな被害を及ぼしている)に着目して研究を行っています。どちらの寄生生物も世界中で数千億〜数兆円の農作物被害があり、今後世界の食料生産力を高めるためにも寄生生物から農作物を守る方法を見つけなければなりません。

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