加工開発分野 香りの化学研究室
当研究室では、北海道の豊富な資源に関わる様々な“香り(アロマ)”、飲料や食品にとって重要なフレーバー(風味)、化粧品にとって重要なフレグランス、これらの“香り”を匂い物質としてだけではなく、官能、機能、味覚への作用などさまざまな角度から総合的に研究を行なっています。これらの研究には、当学科が誇るヒトの嗅覚検知能力と分析機器を融合した高度な装置類と、千にも及ぶ香料コレクション、そして特別に設置してある調香室がフルに活躍します。学生達は卒業研究を通して、“香り”を感覚、化学、機能など多方面から評価できる総合的な力を身に付け、香粧品や食品をはじめとする研究・開発分野において活躍できる人材として羽ばたいています。
KEYWORDS
アロマ、フレーバー、フレグランス、香り、分析、官能評価
生物資源のポテンシャルを食品・香粧品に活用
北海道には豊富な生物資源がある。当研究室では、香粧品や機能性食品の素材となる新規生物資源の開発を目指して、北方系植物の芳香成分を中心に、機能性成分の化学的研究と機能性試験に取り組んでいる。北海道の花ハマナスやヤチヤナギやカツラなどの樹木や野菜などの未利用部位から香粧品の開発を目指しているほか、機能性食品素材としての利用も検討している。最新鋭の分析機器を使った成分の化学的研究とともに機能性試験を組み合わせ、さらに共同研究を通じ、香粧品や機能性食品の研究・開発に貢献できる、化学を基礎とした広汎な素養をもった人材の育成を目指している。
香りの化学研究室の研究テーマ
1
生活を彩る香りの研究
香りは、我々人間の生理現象に直接影響を与える重要な因子です。香りにより潜在的においしさを判断したり、香りを通して景色を記憶することもその一つと考えられます。私たちは、北海道特有の芳香植物であるハッカ、ハマナスなどの香りを分析したり、お茶やコーヒーといった嗜好飲料の香りの特性を明らかにすることで、食品や香粧品分野に寄与する情報を集めています。
また、香料を効率良く合成するために必要な触媒を、未利用な水産資源を活用して開発しています。
2
機能性成分の探索
私たちの研究室では、北海道に自生する植物や食品加工副産物に含まれる機能性成分の探索とその機能解明を試みています。現在は,植物に多く含まれているポリフェノール(加水分解型タンニン)や芳香成分の抗酸化、抗菌作用や肌の美白に関連する機能性を検討しています。さらカムカムジュースの製造過程で派生する残渣の機能生を検討しています。これらの実験では、各種クロマト技術を駆使し,構造決定にはNMRやMSなどの機器分析を多用しています。また、香り成分のヒトに対する心理・生理効果についても研究を進めています。
所属教員
学生の主な研究テーマ
・地域資源からの機能性物質の探索(ヤチヤナギからの機能性芳香成分の単離)
・エミューオイルの機能性と組成に関する研究
・栽培地の違いがホップの苦味成分と芳香成分に及ぼす影響
・ナガイモの添加が加工食品に与える影響
・カムカム果皮および種子のポリフェノールに関する研究
・ハマナス花弁のフラボノイドに関する研究
・タマネギ中のケルセチンニ量体に関する研究
FREE TALK
私たち機能研は,先輩と後輩の信頼関係が厚く,とても仲のいいのが自慢です。研究室では,後輩が先輩の下について一緒に実験を進めていく体制をとっています。また,研究以外でもお花見やソフトボール大会,忘年会,新年会などのイベントを通して,先生や仲間との親睦を深めることによって信頼関係が深まりました。このように,研究はもちろんのこと,それ以外の研究室活動を通して様々なことを学ぶことができるとても有意義な研究室です。
私達は,ラットをモデルとしてエミューオイルのメタボリックシンドロームに対する効果を検証する実験を行っています。動物を扱っての実験なので毎日の世話が大変なのはもちろんですが,人間の性格が十人十色のようにラットも様々なので扱いに苦労しています。最終的な効果を検証するために,飼育していたラットを解剖するわけですが,命を無駄にしないように一匹のラットから出来るだけ多くの情報を得られるよう細心の注意を払っています。この実験を通して、生き物の命の上に私達の実験が成り立ち、毎日の生活が成り立っているのだと実感しました。ところで,エミューオイルの効果はといいますと………,乞うご期待!!!!!!