醸造科学科
世田谷キャンパス
酒や味噌、醤油、酢などの伝統的な発酵食品は、微生物がもつ発酵の力を利用してつくられています。さらに近年、この微生物の機能は環境の浄化やエネルギー開発の世界でも広く応用されようとしています。小さな微生物が、人々を大きな未来に導いているのです。
学科ニュース
学科基本情報
伝統技術と先端のバイオテクノロジーを学ぶ
醸造学は微生物のもつ機能を活用して、食品の世界をはじめ、人々に豊かで安全な生活を提供してきたクリエイティブな学問です。温暖湿潤なわが国において古来より発達したものづくりの伝統に親しみ、その原理をひもとき、さらに優れた技術として発展させることをめざします。ゲノム情報を自在に扱える現代において、微生物のもつ発酵と醸造の力を遺伝子レベルから掘り起こして、社会の色々な局面で役に立つ技術をクリエイトしていきます。
醸造科学科では、微生物の力を利用した醸造の伝統技術に、最先端のバイオサイエンスを加えた幅広い教育と研究を行います。そして、その専門知識・技術を応用して、食料・環境・エネルギー問題の改善・解決に参加できる総合力を身に着けてもらうことをめざします。
学びのスタートは有機化学、生化学、微生物学から
醸造科学科では醸造に関連する幅広い知識を学ぶため、微生物の総合的な知識や取扱い法・機能解析を習得する「醸造微生物学分野」、醸造物の原料から製品に至るまでの科学と技術について考究する「醸造技術分野」、食品産業を取り巻く環境を広範に扱う「醸造環境学分野」の3分野を配置しています。
1・2年次は、これら3分野の基礎となる有機化学、生化学、微生物学を中心に学び、微生物と生命現象の全体像をつかみます。3年次からは、食品化学など「食と酒」に関わる科学をはじめ、微生物を利用した環境、製薬、バイオ産業にかかわる専門領域も学びます。また多彩な実験実習によって発酵と醸造のメカニズムに対する理解も深めていきます。4年次は、卒業研究によって知識を統合して問題を解決する能力を養います。伝統的な醸造技術からバイオテクノロジーなどの最先端の知識とそれを生かす思考力を身につけることによって、卒業生は醸造・食品メーカーのほか環境分野や製薬分野などの多くの業界で活躍しています。
全国の大学で貴重な「醸造」の名をもつ高等教育機関
醸造科学科は、全国の大学のなかで貴重な「醸造」をその名に冠している学科です。唯一無二の醸造科学科を裏付ける特徴的なカリキュラムの一つが「醸造科学特別実習」です。この実習の様にキャンパス内での学問や研究活動のみならず、醸造現場まで体験し学ぶことで醸造学のスペシャリストを育てる高等教育機関です。
教員・研究室紹介
醸造微生物学分野
醸造技術分野
醸造環境学分野
PICK UP
1年次
必修
微生物学実験
醸造学は微生物の力を利用するため、微生物の取扱いは必須の基本技術です。微生物は肉眼では見ることができないため、その取扱いについては高い専門性を必要とします。微生物学実験では、特に醸造に関連の深いコウジ菌、酵母、乳酸菌について、分離・培養法、性質、区別法などの実験を通して学び、醸造の基礎となり、微生物利用産業への応用も可能な微生物の取扱い法を習得します。
3年次
必修
酒類生産学実験
清酒のもととなる酒母を最初に製造し、これを用いてもろみを仕込み、清酒醸造の工程に沿って生産実験を進めていきます。同様にワイン、ビール、焼酎などの少量生産試験も実施し、その経過、外観の変化と発酵管理、酒質の違いやもろみ中の微生物の変化の様子を調べます。また各仕込み原料(米、ブドウ、麦芽、芋等)の処理・調製法、麹の製造、各製成酒の分析や官能評価をおこないます。
3年次
選択
醸造科学特別実習
食品の製造現場を訪れ、醸造や食品の加工を実食品の製造現場を訪れ、醸造や食品の加工を実際に体験し、学内では得られない応用力やコミュニケーション能力の習得をめざす学外集中実習です。12月中旬から14日間、本学卒業生が経営または勤務する全国各地の醸造・食品関連の製造工場、または販売関連企業に、学生は2人1組で出向き、社員と寝食をともにしながら実務を体験。終了時には研修先担当者が実習内容の評価をおこないます。
卒業後の進路
大学院との連携
醸造学専攻 博士前期・後期課程
醸造学専攻は、わが国独自の醸造技術や発酵食品の科学的探求及び次世代の微生物利用産業の発展に寄与する人材の輩出を理念とし、基礎科学知識に精通し微生物学・化学・生物工学に関する研究能力を有する人材並びに高度な発酵技術を有する研究者や専門職業人となる人材の養成を目的とします。