ランドスケープ資源・植物分野 緑化植栽学研究室
私たちの生活する都市の中には、身近な空間の緑として地域の公園や運動施設などから、高層のビル群が立ち並ぶ空間の緑として屋上庭園や壁面緑化、室内のアトリウムなどがあり、これらのさまざまな場所の緑化空間は、私たちの生活の質を高めている。ところが、これらの場所は植物にとって健全な生育が困難な環境であることが多い。このような環境での植栽について緑化技術(造成・維持管理)の開発および研究を行っている。また、花や緑が人間心理や都市環境に与える効果について解明をする研究や環境要因と地被植物の生育特性(成長量や糖・イオン等の体内分布等)との関係を解明する研究など幅広いテーマを設定している。研究対象は都市空間から沙漠地や災害地等の過酷な環境で人の生活と密接した場所が主となっている。
KEYWORDS
人の暮らしと緑、緑地、芝生、地被植物、環境条件と植物、都市環境、林床管理、屋上緑化・壁面緑化、植栽基盤
植物の力で潤いのある快適な都市環境、都市空間を創造する
私達の生活する都市の中には、身近な空間の緑としての地域の公園や運動施設さらには街路樹などがあり、さらに高層のビル群が立ち並ぶ空間の極限られた場所( 屋上庭園・壁面緑化、室内のアトリウムなど、)において、さまざまな形態の緑化空間があり、これらは私達の生活の質を確実に高めています。ところが、これらの場所は植物にとっては健全な生育が困難な環境であることが多く見られます。このような環境での植栽について緑化技術 ( 造成・維持管理 ) の開発および研究や調査を行っています。さらには、花や芝生、その他の緑が人間心理や都市環境に与える効果や環境要因と地被植物の生育特性( 成長量や糖・イオン等の体内分布等 )との関係など解明しています。研究対象は都市空間から沙漠地や災害地等の過酷な環境で人の生活と密接した場所が主となっています。
所属教員
学生の主な研究テーマ
・地被植物の生理・生態に関する基礎的研究
・スポーツターフにおける生育診断の可視化に関する研究
・緑化植物における環境浄化作用に関する研究
・都市環境下における緑化樹木の成長と植栽基盤との関係性
・造園植物における抗酸化作用に関する研究
・屋上緑化・壁面緑化に資する緑化材料に関する研究
FREE TALK
・ゼミ活動
緑化植栽学研究室(通称:植栽研)では週1~2回ゼミ活動を行っています。学生が主体となって行うゼミがメインですが、その他にも教員ゼミや学外の講師の方をお呼びして講義をお願いする場合もあります。学生主体のゼミでは、合宿や収穫祭についての話し合いなど、学生側からゼミ内容を提案して実施することが多いです。 ゼミの時間外にもたくさんの学生が研究室に来て卒業論文について語り合っている光景もよくあり、活気があふれる研究室です!
・屋上や温室を利用した実験活動
植栽研では、研究室活動の一環として、研究室で施工した東京農業大学付属第一高等学校の屋上の植栽管理を行っています。また、自分たちが実験場として使用する世田谷キャンパス内の温室と11号館屋上の定期的な維持管理に全員で取り組んでいます。 これらの定期的な植栽管理を通じて、それぞれの植物の環境適応を考えるきっかけになりました。温室や屋上の特殊な環境を活かして、厳しい環境条件下で生育する植物を実験対象とし、ポット実験等による成長量や植物体内の栄養分析を行っています。
・ゼミ合宿
植栽研はゼミや圃場作業だけでなく、夏休みの期間を使って、ゼミ合宿を行っています。「どこに行くのか、何を学ぶのか、どこに泊まり費用はどのくらいになるのか」など、学生が主体となり、みんなで意見を出し合って決めます。ゴルフ場や公園施設、また一般の人達が普段入れないところを見学することもあります。 令和5年度は植栽施設の視察をテーマに、静岡県にて合宿を行い、植物園へ行ったり、公園や街並み、工場の緑化について考えたりなど、ゼミ合宿ならではの体験をすることが出来ました。 夜には交流会が開かれ、3年生、4年生、院生、先生の垣根を越えて親睦を深めます。それはとても楽しい思い出となりましたし、大学生活での不安を相談することも出来て、大変充実した時間となりました。そして合宿後には、実際に調べたこと、感じたことなどを研究室の全員で知識を共有し合いました。
・収穫祭!
今年度 (令和 5年度)の収穫祭では 、 前回同様の花苗とアロマウォーターに加え、ハーバリウムの販売に挑戦しました。今年販売した100種類以上の花苗は、全て学生が 選んだものです。また、アロマウォーターは 学生が好きな香りで1本ずつ調合しました。そして、ハーバリウムは研究室員手作りのドライフラワーも使用しつつ、納得のいくまで時間をかけて制作 しました。
新型コロナの影響で、誰も収穫祭を経験していない 中、学生が準備段階から積極的に活動し、収穫祭当日は、目立つ看板装飾、学生のやる気、美しい商品、全てが揃い楽しく充実した3日間となりました 。また、3年生と4年生、大学院生が協力し、研究室内の仲も深めることができました。
私たちのために協力してくださった先生方、取引先の方、本当にありがとうございました。来年の収穫祭も盛り上げていきたいです!
・現地見学会
植栽研では、研究室活動の一環として、都市の緑化空間や屋上庭園をはじめとする特殊緑化、競技場などの現地見学会を行っています。
令和5年度は池袋周辺の緑化空間を中心に見学し、「としまみどりの防災公園(通称:イケ・サンパーク)」では公園管理の担当者の方に園内を案内していただき、公園管理の裏側の話を伺うことができました。見学会後にはグループに分かれ、ディスカッションなどを行いながら、成果物としてパネルにまとめます。夏休みにみんなで集まって都市緑地に関する熱い議論を交わしながら過ごすのもいいものですよ~。
・卒業研究
植栽研では早くから研究活動に取り組むことができます。3年次には研究室活動で携わった競技場で、芝草葉身の細胞液溶出率を用いて芝種別に越夏性試験を行いました。また、4年次には寒地型芝草の競技場での損傷度合いの可視化の検証に取り組みました。
競技場での現地調査は、芝草管理の仕事をする人と同じ目線でのデータの取得となるため、観客席から見る競技場の風景とは違う、貴重な経験となりました。一方で、4年次は、ちょうどコロナ感染症蔓延の事態とも重なり、競技場での現地調査も思うようにできず、大学への入校制限もあるなかでの研究・執筆活動となってしまいました。
そのため、3年次に集めたデータを中心に分析を行い、自宅からオンラインミーティングを使って指導教員と卒論の相談をしながら、コロナ禍が終わることを信じて次の研究計画を立てて時が来るのを待つ日々でした。
卒業論文をまとめるにあたって、目次の作り方から文章の構成まで、科学論文とはどのようなものか、指導教員と相談をしながら、4年間の講義・演習と2年間の実験の集大成として、書き上げることができました。
・修士論文
修士論文では、スポーツターフにおける生育診断の可視化に関する研究を行いました。 修士課程在籍時に開催された東京オリンピック(TOKYO2020)において、競技場のスタッフとして、実際に芝草管理(スポーツターフの管理)に携わることができました。現場での仕事で体験したことは、自身の修士論文に還元することができただけでなく、一生忘れられない貴重な経験となりました。(なお、当研究室では、1964年東京大会でも競技場芝草に関わっています。) また、農大地域環境科学部の連携校であるドイツ・オスナブリュック応用科学大学主催で行われたドイツ・レンゲリッヒ市での国際ワークショップにおいて、自身の研究について発表する機会がありました。世界6か国からの参加した学生、教員と意見交換を行い、世界で自分の研究が通用するのだと実感できたことに加え、研究仲間・ライバルが世界中にいることを知り、うれしかったです。 修士論文をまとめるにあたって、競技場の芝草管理で得た知見とドイツで得た世界の中での自身の研究の立ち位置を反映させ、修士論文を書き上げることができました。