フードシステム研究室の研究活動
2024年12月23日
2024年度のフードシステム研究室は「有機給食」を対象に、研究を行いました。1~3年生まで合計43名で活動し、3つの事例班と基礎概要班、アンケート班の合計5班に分かれて、資料収集、アンケート、現地調査を実施しました。
地場産有機農産物を学校給食で利用する取り組みは、生産者や保護者からの要望などを背景に、一部の地域でみられるようになりました。そのようななか、2022年にみどりの食料システム戦略が施行され、全国的に有機農業が推進されるとともに、有機給食を取り組みの1つとして掲げるオーガニックビレッジの拡大が目標に定められました。しかし、一般的に有機農産物は慣行農産物と比較して、生産コストが高いことや収量・サイズが安定しないことが課題として挙げられています。一方、学校給食では大量の食材が短時間で調理されているため、低価格・高品質・揃ったサイズの食材が求められます。このように有機給食の推進には様々な課題が存在し、実現にはこれら課題への対応が求められます。そこで今年度の研究室活動では、有機給食を実現している先進的な地域を対象に調査を行い、実施要因と課題への対応方法の解明を目的として研究に取り組んで参りました。
フードシステム研究室では毎年、先生方のご助言を頂きながら、学生が主体となって研究テーマの立案から研究構想の策定までを行います。今年度は春休みから研究テーマ案のプレゼン大会を実施し、4月中旬に全員投票で研究テーマを決定しました。5~6月には先行研究の精査と並行して、調査対象地域の選定を行いました。その際には、全国の124のオーガニックビレッジに対して、室員全員で電話調査を行い、有機給食の頻度や取扱品目などを伺いました。夏休み期間には実態調査を行いましたが、今年度の調査地域は、京都府亀岡市、熊本県山都町、島根県吉賀町の3地域です。文献やインターネットなどでは得られないデータを調査で得ることができました。また、同学年や先輩・後輩など研究室員同士で仲良くなることができたと思います。
京都府亀岡市の調査
島根県吉賀町の調査
熊本県山都町の調査
また、アンケート班は、電話調査で収集した情報を基に再度オーガニックビレッジに対して、アンケートによる調査を実施しました。回答率は約80%とかなり高く、とても貴重なデータを収集することができました。
収穫祭文化学術展における研究発表(プレゼンテーション練習)
調査後は、調査で収集した資料・データの分析・検討を行い、研究を取りまとめました。収穫祭の文化学術展では、来場者に対して室員が研究発表を行い、収穫祭以降は学術学会での研究発表と、研究報告書の作成に向けて活動を継続しています。
各班の主な活動内容
基礎概要班(1・2年生)
研究における基本的な情報の収集や整理などを実施。
アンケート班(1~3年生の有志)
全国のオーガニックビレッジ(124市町村)へのアンケートの作成。回答結果の収集や整理、分析などを実施。
事例班 Ⅰ
調査地域:京都府亀岡市
調査先:市役所担当課、給食センター、生産者団体
事例班 Ⅱ
調査地域:熊本県山都町
調査先:市役所担当課、流通組織、生産者団体
事例班 Ⅲ
調査地域:島根県吉賀町
調査先:市役所担当課、学校給食栄養士、生産者団体、道の駅運営組織