東京農業大学

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あい

研究発表コンペに参加して

2019年1月7日

研究発表コンペに参加したので、発表した川久保槙人(2016年入学・フードビジネス研究室)が当日の様子と成果を報告します。

1.アグコンに参加するにあたって

アグリカルチャーコンペティション(通称アグコン)は、大学生を対象とした農業・食・地域・JAに関する研究発表会です。本研究室のOBの方からこの大会を紹介していただいたことが、参加するきっかけとなりました。本研究室では毎年フードビジネスに関する研究を行っており、本年度の研究題材は国の重点分野となっている食品の輸出です。我々の研究を発信するだけでなく、他の学生と比べてどれほどのレベルにあるのか、どれほど通用するのかを把握したいと思い、参加することを決めました。アグコンへは、50名を超える研究室員を代表して5名で臨みました。

2.研究内容

本年度の研究タイトルは、「日本酒の輸出拡大に寄与する企業行動の考察 ―優良事例のケーススタディをもとに―」です。今日において若者の酒離れや酒の志向の変化を背景に、日本酒の国内消費は最盛期の3分の1まで落ち込んでいます。こうしたことから、海外に販路を求め出荷数量を維持、拡大していくことが望まれていますが、その輸出においても国が掲げる目標に対し大きく遅れをとっている状況にあります。そこで、こうした現状を打開する策を検討することが必要だと考え、このテーマを設定しました。

3.研究を進めるにあたって

近所のスーパーや酒屋に行けば安価なパック酒やカップ酒と大吟醸酒に代表される高級な日本酒が並んで陳列されているように、消費者には様々なニーズがあります。我々は国・地域によって日本酒の志向(具体的には価格や品質の違い)が異なると考え、まずはその傾向を国税庁の統計資料を用いて分析することにしました。その結果、予測通りの傾向が確認できたため、中心的な輸出先国であった韓国にターゲットを設定しました。日本酒を輸出すると聞いて皆さんがイメージされるのは、純米大吟醸酒のように高価で上質な日本酒だと思います。ですが、韓国では安価な日本酒が求められており、しかも、このような志向を持つ国・地域は輸出先国全体のうち半分近くあります。こうしたことから、安価な日本酒を製造する企業の企業行動に着目し、その実態を明らかにすることにしました。調査を行うにあたり、輸出数量を増やしており、なおかつ出荷数量も増やしている清酒製造企業の中から、韓国への輸出において7%のシェアを持つ企業を事例に取り上げました。事例企業を訪問して本調査を行った他、電話やメールによる補足調査も含めて複数回調査を実施し、得られたデータをマーケティングのフレームワークに基づいて分析していきました。

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事例企業での本調査の様子

4.アグコンに向けて

アグコンに参加することを決めてから、研究室活動と並行して準備を始めました。研究室を代表していることもあり、5名のメンバーの士気は非常に高く、皆優勝することを信じて真剣に準備を進めてきました。毎日遅くまで議論を重ね、研究を指導していただいた先生のところへも連日通い、アグコン事務局へ提出する資料の締切前には二夜連続で徹夜したりもしました。これほど努力したことはこれまでなかったかもしれません。また、発表にあたっても、先生や本研究室のOBの方にもお時間をいただき、実戦を想定した練習を重ねました。アグコン前日には、先生から「あとは某通信企業のトップの様に自信をもって報告をしろ!」と激励いただき、万全を期して本番に臨みました。

5.アグコンでの発表

アグコンでは、午前に予選を行い午後に決勝が行われます。出場したチームは全27チームで、これらが4つのブロックに分かれて予選で戦い、各ブロックから1チームが決勝へ進出することができます。初めて他チームの報告を聞いたときには、その完成度の高さから非常に驚きましたが、それが優勝することへの意欲を高めました。予選での発表は、こうした場で発表をすることが初めてだったこともあり緊張しましたが、練習の成果を発揮することができ、無事に決勝まで進むことができました。決勝へは、予選を踏まえて発表の直前まで皆で相談しながら報告内容を改良し、臨みました。結果は審査員特別賞をいただいたものの優勝とはなりませんでした。ですが、皆で最後まで努力をしたので悔いはありませんでした。

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アグコン決勝での報告 (1)

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アグコン決勝での報告 (2)

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表彰式での記念撮影

6.アグコンに参加して

普通に大学に通い、真面目に授業を受けていれば、たしかに知識はつきます。しかし、研究室のような組織に所属することでその知識をより深め、専門的な知見を修得できます。さらに、その中でもより主体的に行動することで、普通の学生生活では決して経験できないような学びの機会にも恵まれます。我々は必死になって知識を深め、自ら考え、皆で議論して、研究をより良いものにしていこうと努力してきました。そのあまり、時には終電を逃してしまい、徹夜で議論したこともありました。ですが、仲間たちと共に一つの目標に向かって切磋琢磨したことは、これまでの学生生活の中で最も有意義なものになりました。そして、我々を著しく成長させると共に、自身にとって大きな自信となるスキルを身に付けるきっかけにもなりました。皆さんも、ぜひ、自分を成長させるような学生生活を目指してください。

7.今後に向けて

本研究室では、毎年、学会報告、学会誌掲載を目標に取り組んでいます。本年度もそのための準備を進めています。また、日本酒の輸出に関わる業界の方々、この研究に協力して下さった企業や行政の方々にも機会を設けて、我々の研究成果を還元したいとも考えています。これまでやってきた中で辛いことはたくさんありましたが、壁を乗り越え努力してきた数が多いだけに、我々はこの研究に大きな自信を持っています。そして、我々の研究成果が食や農が抱える課題の解決に寄与し、ひいては社会の発展の一助となることを信じています。

大学は、多くの人が人生において最後の学びの場となり、その先は社会の一員として活躍していかなければなりません。大学でどのような経験を得るかで、おそらくその先の人生は大きく変わるでしょう。私は、大学生活の中でこうした経験を得られたことを誇りに思い、これを活かして、社会に出て活躍していきたいと思います。

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室員の集合写真(パネルは研究成果)

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