2025年度農業経済研究室による仙台市沿岸部の震災復興に関する研究
2026年1月20日
2025年度の農業経済研究室の研究テーマは、「集落が縮小・消失した被災地における地域農業の持続性―仙台市沿岸部の農業法人と拡大コミュニティの相互作用から―」です。本研究は、研究室の1~3年の学生が、テーマ設定から現地調査、分析、発表までを主体的に行いました。
東日本大震災から約15年が過ぎました。仙台市東部沿岸地域は、広大な水田地帯であり、壊滅的な打撃を受けました。地域によっては住居の移転を余儀なくされ、集落は大幅に縮小したり、消失しました。一方で、地域農業の再建に向けて大規模なほ場整備が進められ、その担い手として新たな大規模農業法人がいくつも設立されました。震災復興の優良事例としても紹介されています。
私たちは、こうした地域を対象に、「農業はどのように持続しているのか」「農業経営と地域社会はどのような関係にあるのか」という問いを立て、被災地における地域農業の持続性を検討しました。難しいテーマでしたが、被災地域の農業の持続性は、それ自体大変重要な検討課題ですが、同時に、今後の日本の水田農業の行方を考える上でも、興味深いと考えました。日本の水田農業は、農家や農業法人による経営の側面と、農村集落という生活の側面の両方により成り立っていると言われます。今年の研究では、被災地域を対象に、水田農業における経営と地域の関係を改めて捉え直すことを試みました。
私たちはまず、県全体の歴史と現状を知るために、宮城県農業をよく知る(公社)みやぎ農業振興公社さまと(一社)宮城県農業会議さまからお話を伺いました。その上で、9月の現地調査では、仙台市の井戸地区と荒浜地区について、それぞれ大規模農業法人と、住民組織に聞き取りを行いました。調査でお世話になった、(農)井土生産組合、井土まちづくり推進協議会、(農)せんだいあらはま、海辺の図書館、荒浜のめぐみキッチン、の皆さまに、心より感謝申し上げます。


現地調査の結果、被災後の大変な状況の中で、農業や住民生活を復興するための様々な取り組みや思いを知ることができました。また両地域では、地域農業の中期的な持続性は一定程度確保しているものの、水路等の地域資源管理や、構成員の継承などに、様々な課題があることも分かりました。
研究活動を通じて、現地の声を直接聞くこと、一歩引いた立場から行動の要因や構造的な問題を考察すること、自分たちの研究をこれまでの研究の中で位置づけて主張すること、そのどれもが難しいことを実感しました。
研究の成果は、収穫祭の文化学術展において一般の方向けにパネルで発表しました。そして、3月の年度末に向けて、報告書として取りまとめます。また今年度は、現地でお世話になった方々をお呼びして、報告会も予定しています。どんな議論になるか楽しみです。


