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日本の農業・食品産業の可能性をグローバルな視点から学ぶ

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東日本支援プロジェクトの成果と学生の参画

2021年6月7日

この度、東京農大東日本支援プロジェクトでは、10年間の復興支援をまとめた書籍『東日本大震災からの農業復興支援モデル : 東京農業大学10年の軌跡』を株式会社ぎょうせいより上梓いたしました。

東日本支援プロジェクトは、2011年3月の東日本大震災発災の後、2011年5月から、福島県相馬市を主たるフィールドとして、研究を中心とした継続的な支援を展開してきました。現在、東京農大世田谷キャンパスの7名の教員が、現地で活動を続けています。

プロジェクトリーダーの渋谷先生

2019年度からは、福島イノベーション・コースト構想「復興知」事業の助成も得て、研究のみならず学生の教育にも活動を拡大しています。
国際バイオビジネス学科の3年次の選択科目である「商品企画演習」では、相馬市産大豆を素材とした新商品アイデアの作成を行います。
福島の高校生を対象とした「オータムスクール」や、農業者を対象とした「もう一歩踏み出すための農業経営セミナー」にも学生は参加し、現地での活動を進めてきました。
また、マーケティング研究室半杭ゼミで行った相馬市の「浜の駅 松川浦」等での消費者調査にも学生が参加しています。
調査結果など詳しくは書籍を参照していただくとして、ここでは、学生がこれらの活動に参加してどのように感じたのか、語ってもらいました。
 

書籍データ

東日本大震災からの農業復興支援モデル : 東京農業大学10年の軌跡
編著者名 東京農業大学/編
ISBN 978-4-324-80108-6
発行年月 2021/02
販売価格 3,410 円(税込み)
出版社 株式会社ぎょうせい

参加学生インタビュー

半杭 半杭ゼミでは、2020年度も福島を訪れて色々な活動をしました。いかがでしたか?
雄太 「浜の駅 松川浦」の調査に参加しました(※1)。消費者調査はやったことがなくて、今回が初めての経験でした。

齊藤雄太(新潟県出身)

半杭 出口調査を担当したんだよね(※2)。
雄太 「回答者の方に気持ちよく答えていただけるように、当然なんですけど、腰を低くというか、丁寧に声をかけるように心がけました。
大晴 ある回答者の方に、自分の出身が仙台だと話すことがあったんですね。そうしたらその方も仙台の人で、その娘さんと僕が中学校の同級生でした。
一同 すごい(笑)
千聖 アイトラッカー(※2)は、普段は研究室で練習していたので、リアルな現場は大変でした。風が強くて持って行ったテントも使えなかったし、施設のバックヤードをお借りして調整をしたりして。
崇円 動線調査を担当しました。実際に店舗のなかのお客様の動きを観察するのですが、商品の位置を変えたらどうなるかなと考えたりしながら見てました。
半杭 オータムスクールでは高校生と「マーケティング実践講座」を行いました。
大晴 オータムスクールでは、自分はみんなの前に立って説明をする役割だったんです。ゼミや演習で同じ世代の人に説明するのは慣れていましたが、自分より年下の人への説明では、自分の話すことが全部理解してくれるわけではないことにアプローチしていくやり方が結構難しかったと思います。

西塚大晴(宮城県出身)

健介 オータムスクールに参加してくる高校生が意欲的だったので、色々と話をしたときに理解しようと聞いてくれたと感じました。大学で勉強している知識について、それを活用していくためには、十分伝えられなかったかもしれないけど、他の人に伝えるとか、そういう訓練をすることが大事だと思いました。
千聖 高校生が自分から話しかけたりメモしたりしてくれて、教えるというよりは、学ぶサポートという感じですね。マーケティングという言葉を知らない状態で参加したのだったら、内容はなんとなくわかったのかと思いますけど、事前に理解していてさらに難しいことを求めている人がもしいたのなら、もうちょっと踏みこんだ内容にもできたかなと思います。

梅原千聖(静岡県出身)

健介 僕も同意見なんですけど、マーケティングについて、本当に初歩の、第一歩としてはわかってくれたのかなと思いますけど、時間も限られていたので、もうちょっと時間があればよかったかなとは思いましたね。
半杭 秋には「もう一歩踏み出すための農業経営セミナー」。多い人では3回目の福島だったね。
健介 農業の勉強もしていながら、農家の方と生で話す機会が1、2年生ではほとんどなかったので、すごく貴重な体験になりました。
優気 ポジティブな面でもネガティブな面でも、地方の農家の人の現状を理解するうえでよかったと思います。ネガティブな面では、私がお話を伺った方は、規模をもっと大きくしていく、発展させていく気持ちがないというのが意外で。お話を聞かないと理解できない部分でしたね。

近藤優気(徳島県出身)

崇円 イチゴ農家の方に話を聞きました。栽培や出荷まで、自分のこだわりを持ってやってると言うのがいいなと思いました。こだわりをもっているだけではなくて、品質に自信を持っているし、周りよりも儲かっている、というのも。
半杭 経営セミナーでは、そうした農家の経営について伺って、経営理念を一緒になって考える、ということに取り組みました。
崇円 農家の方と一緒に、同じ目的をもって考えることができました。農家の方もどちらかというと漠然としていたものを形にしていく感じです。どういうふうに話を聞き出せばいいか考えながら話すのは難しかったですね。
半杭 全体を通して感想を。
大晴 経コロナ禍でもあるので、最初はウェルカムじゃないかと思ったけど意外と受け入れてくれて安心しました。皆さん優しかったなという印象です。
優気 僕が思ったのは二つあって、一つ目は被災地というところに行ったことがなかったので、現状がどうなっているかということを自分の目で見ることができたのはよかったなと思います(※4)。やっぱり周りに普通に家があったところに家が無くて焼け野原みたいな感じになっているところもあって。生活が一気になくなってしまうところに地震や津波の怖さを感じました。二つ目はマーケティング的な部分なんですけど、例えば「浜の駅 松川浦」に自分の商品を置いたとして、どういうふうに置いたら売れるのかなと考えるきっかけになりました。
大晴 同じ内容でも、キャンパスでやるのと自分たちで実際に現地に行ってやるのでは、得るものも感じるものも違う気がしています。実際に行ったからこそ楽しかったし、印象に残っていますね。
雄太 松川浦の旅館に泊まったんですが、景色も良くてご飯も美味しくてお肌もすべすべになりました。
一同 (笑)

※1 2020年に10月にオープンした「浜の駅 松川浦」は相馬市の松川浦漁港に隣接する直売施設です。相馬市役所の依頼を受け、このマーケティング調査を実施しました。
浜の駅 松川浦
https://www.hamanoeki.com/index.html
※2 出口調査については、答えてくれそうな人をねらってきいてしまうと、バイアス(偏り)が発生します。バイアスを避けるために、来店する回答者の人数に基づいて一定の間隔で質問を投げかける、といったサンプリングを行って、質問をしています。
※3 眼球の運動を捕捉することで視点を観測できる計測機器がアイトラッカーです。被験者に帽子型のアイトラッカーを装着していただいて、視点と視野を分析する調査手法を半杭ゼミでは行っています。
※4 プロジェクトの主なフィールドである相馬市以外も訪れました。双葉町にできたばかりの「東日本大震災・原子力災害伝承館」にもお伺いしました。

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