水圏共生分野 水圏生態学研究室
豊かな海と言われるオホーツク海であるが、豊かさを支えている生態系や環境の仕組みに関する知見は皆無に等しい。またオホーツク海は北半球で海が凍る南限であり、我が国において地球温暖化の最前線とも言われている。この豊かな海からの恵みを今後も受けるためにも、これら仕組みの解明は差し迫った課題である。当研究室では、北海道オホーツク沿岸域を中心として、生物学的、化学的、物理学的な視点から豊かさを支えている仕組みを解明し、地球温暖化などの環境変化が生態系に及ぼす影響を評価していく。
KEYWORDS
海氷、プランクトン、アイスアルジー、ドローン、海洋環境、リモートセンシング、海草藻場、地球温暖化、炭素固定、マイクロプラスチック
氷海のなぞを解き、水圏生態系を守る
オホーツク海は冬季、流氷と海面凍結のために水産業は停止する。そのため、海中での生命活動も休止するかのように思われがちである。しかし、凍結した海面下の水中では多様な生物活動が行われている。だが、その実態は謎に包まれている。当研究室では地の利を活かし、流氷と海面結氷がオホーツク海の環境と生態系に及ぼす影響の解明をこころみている。
所属教員
学生の主な研究テーマ
・北海道東部の沿岸海跡湖能取湖のプランクトン群集に関する総合的研究.
環境要因と植物プランクトンクロロフィル量の分布
・北海道東部の沿岸海跡湖能取湖のプランクトン群集に関する総合的研究.
溶存酸素の季節変化(2007-2009年)
・北海道東部の沿岸海跡湖能取湖のプランクトン群集に関する総合的研究.
ネット動物プランクトン群集の季節消長
・オホーツク海沿岸域における動物プランクトン群集の現存量と季節変動
・海底堆積物存在下における製鋼スラグの植物プランクトン増殖促進効果
・製鋼スラグが植物プランクトン群集の構造に及ぼす影響
・オホーツク海沿岸に出現する植物プランクトン種に関するデータベース
FREE TALK
大学生活最後の一年間はそれまでちゃらんぽらんに生きてきたツケでまさに地獄でした。その地獄から救ってくれたのは先生と研究室のみんなです。谷口先生、西野先生は学習能力の低い私を見放すことなく、いつもわが子のことのように私の人生について真剣に考え、多くのアドバイスをくださいました。研究室のみんなはすぐにパニックを起こす私をいつも落ち着かせてくれ、何から片付けていけばよいか一緒に考え、全力でサポートしてくれました。また本当に大切なことを教えてくれ、私に足りないもの、私のいいところを教えてくれました。周囲の人たちの多くの助けがあったからここまで来れたと思っています。研究室のみなさんには心の底から感謝しています。出会えてよかった!ここで学んだことを大切にして、今後はもっと人として成長していきたいと思います。
後輩の皆さんに一つ、やるべきことは早めに片付けておかないと私みたいにいろんな人に迷惑をかけることになっちゃうよ!と言いたいです。
私が編入学し水圏生態学研究室を選んだことは良い選択だったと思います。一味違う人達で突然1人が能取岬でBBQしようぜ!などと言おうものなら即実行。夕方に準備を始め、終わったのは明け方。岬から昇る朝日を眺める内にいつしか北海道は遠く網走まで来た自分は皆と馴染めるだろうか?などという杞憂は消えていたのでした。
このように日々皆仲良く楽しく過ごしています。一期生ということもあり卒論や研究では困ることも多いですが、先生方のアドバイスや皆で力を合わせがんばっています。
サイエンスキャンプ
水圏生態学研究室は調査活動として能取湖でプランクトン採集や環境データの測定をしています。この調査は結氷した能取湖でも行われます。地域特有の珍しいこの調査は冬季高校生サイエンスキャンプのプログラムの一つに選ばれています。2009年に私もこの調査に参加しました。高校生達はすごく活動的で熱心でした。高校生と一緒に調査を行って自分もこの調査の意義を考えたりと自分の勉強にもなりました。調査結果を考察して話合うことはとても楽しく有意義な時間に感じられました。
(黒田 和真)
私の研究室は月に2度船上調査に行くのですが、その季節によって様々なものを見ることが出来ます。私が11月末ごろ調査に行ったときは、漁協の人に「ほれ、トッカリに囲まれてるわ。」と言われ「ん?トッカリってなんですか??あのたくさん浮いてる黒い浮きのことですか?」と聞くと「あー!アザラシのことだよ。あの黒い浮きに見えるのは全部頭(笑)これじゃあ逆動物園だな!」気がつくと5~6頭のアザラシに囲まれていることもありました。このように普段経験することの出来ない貴重な体験が出来ました。他にもこの研究室では素敵な仲間と頼れる先生とたくさんの思い出を作ることができ、この研究室に入って本当に良かったと思いました。
所属する研究室が決定してから、初めての研究室での活動は能取湖の氷上調査だった。
配属が決まる前に二年生の実習で氷上調査はあったのだが、体調が悪く参加することはできなかったので氷上での初めての調査となった。
はじめて歩く氷の上は「本当に氷の上を歩いているのだろうか」と思うほどしっかりしていて驚いた。はじめて使うアイスオーガ、はじめてみるアイスアルジーで染まった海氷の裏、全てがはじめての体験でオホーツクでしか味わえないものばかりだった。
また、研究室では同じ学年でも初めて喋るような人も多く、配属したての頃は正直な気持ちこの研究室でやっていけるのか不安があった。しかし、みんなとても良いやつらで飲み会、誕生会を開くまでの仲になった。
今は大学院に進学を予定している。現在は海氷と直接関係のない研究をしているが、院に進路を決めるきっかけは初めての研究室調査での経験だと思う。
この研究室に配属できて本当によかったと思う。